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「ほっほっほ、体が軽い。どれ、ダニー、取ってこい！！」
「私の方に投げてんじゃねえぞおっさん！！何なんだここは！！」
「わん！！」
ブルジョワジーな服に身を包んで口ひげを蓄えた男が前に立ちはだかったと思ったら犬の玩具をこちらに投げた。残念ながらウォッチ・ドッグのせいで犬には悪いことはできない。そのまま犬に押し倒されて、べろべろと顔を舐められた。
何を投げたのか、見ればそれは古風なパイプ。なんつーもんを玩具にしているんだ。これだから金持ちは。歯を出して睨みつけた。犬は撫でている。
「おいあんた」
「息子に与えるつもりだったんだが、その前に全部燃えてしまってね」
遠くにいる紳士は、姿勢正しくこちらを見ていた。やはり顔が分からない。
「代わりに、君にあげよう」
「わん！」
彼はそっと近寄って来て、やはり頭を撫でた。いい加減髪がぐちゃぐちゃだ。目の奥がちかちかして、そしてやはり目の前にいた奴らは消えた。
犬がいた場所には懐中時計。ひび割れていて動いていない。ゴミだ、こんなもの。なのに、放置できない。
「違法廃棄物だ、こんなの」
ポケットに突っ込んでまた壁沿いに進んだ。
右に曲がると、水色のドレスを纏った女性が背中を向けていた。むさい男ばかりじゃなくて良かった。
彼女は振り返るとゆっくり近寄ってきた。そして、髪結に使っている青いリボンを外した。顔は、やはりぼやけていて見えない。
「綺麗な髪ね」
優しい手つきで髪を撫でて、何となく微笑んでいる気がした。彼女の髪が波打った。額に触れた彼女の手が、妙にあかぎれていることに気づいた。
「あの人が待っているわ。身だしなみを整えて行きましょう」
彼女は櫛を取り出して髪を手直ししてくれた。そして、彼女の青いリボンで結い終わる。ヘアキャップからはみ出た青いリボンが、初めて制服を着崩した女子学生のように不格好だった。
「こっち」
女性の手に引かれて、迷路を進んでいく。サウサンの幽波紋能力にはこんなものまで付与されていたのか。
「あなたは、誰なんですか」
「あの人を一番愛してる女よ」
「あの人？」
「貴女が愛する人が愛してる人よ」
「…学がないもんで、もっと簡単に」
「うふふ、見ればわかるわ。ほら」
最後、人影が見えたと指を指した彼女は瞬きとともにいなくなった。ちかちかちかちか、目が壊れそうだ。
「…あんたかよ」
「そう、僕。でもあげられるものはなにも無いよ」
「要らねーよ、もう持てない」
「そう、じゃあ…
僕を、あげる」
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☆夢腐女子☆(プロフ) - 苗字の欲張りセットは笑いましたw面白かったです！他の作品も頑張ってください！(*^^*) (2021年5月30日 7時) (
レス) id: a9ee6f3cf2 (このIDを非表示/違反報告)
3a - めっちゃ面白いです！！続きが気になります！頑張ってください！ (2021年5月16日 3時) (レス) id: 59e168782f (このIDを非表示/違反報告)
ソーサラー(プロフ) - 靜藍さん» ありがとうございます！頑張って完結させますね！！ (2021年1月2日 16時) (レス) id: 1368eb388d (このIDを非表示/違反報告)
靜藍(プロフ) - め、めちゃくちゃ面白いですｯｯｯ！！！前作？のディオの妹の話もそうですが、私のドタイプのお話でした！！(*>∇<*)続きとても楽しみに待ってます！！！ (2020年12月6日 19時) (レス) id: 114c5f5474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーサラー | 作成日時：2020年10月22日 23時
