不器用なりの愛情表現【黒尾鉄朗】 (ページ10)

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＿＿黒尾 side

(………なんなんだよ、あれ…。)

彼女と別れてから俺は会社に行って自分のデスクの前で頭を抱えている。
……まだ会って2.3時間とかだぞ？しかもあれが初めての会話なのに馴れ馴れしすぎたか…？…いや、それよりも…

“ありがとうございます、黒尾さん。”

あの時の笑顔が可愛いって、思ってしまった。
こんなの異性に対して思ったの久しぶりすぎて俺は頭を抱えている。

「らしくないですよ、先輩。さっきからどうしたんすか？」

「…お前みたいなモテ男とは違うんですー、」

「もしや、…色恋沙汰ですか？年中仕事人間の先輩にもついに彼女が…」

「お前ちょいちょい俺に対して失礼だよな？」

んな事はどうでもいいんだよと言ってコーヒーを飲む。少しため息を着けば目を閉じると先程の彼女の顔が思い浮かぶ。
…今でも忘れられねぇってか、可愛かった。
普段、異性のことなんて気にしねぇしこの仕事に就いてからは仕事ばかりで恋愛とは円も縁もない生活を送っていたからこんな気持ち久々だった。

「…初めてあった人の事を可愛いって思ったことあるか？」

「え、そりゃああるもんじゃないすか？街中でフラーっと歩いてたらたまたますれ違った子が可愛いかったりしたらそう思うじゃないですか、」

「それとは違ぇんだよ。…忘れられないというか
また見てぇなとか俺思っちまった訳。」

変な話だろと言えば隣で聞いていた新井はんーとしばらく唸って何か考えていた。そしてしばらくしてハッとした顔で俺を見た。

「先輩それは一目惚れって奴っすね、運命ですよ、運命。」

「…一目惚れ？んなまさか…。」

「でも忘れられないんですよね、ならそれはその人に対して“特別な思い”があるって事だと俺は思うんですけどねー、興味もない相手のこと覚えたりしないでしょ、先輩なら」

「まぁそりゃそうだけど…けど仕事上関わらないといけねぇからってとかどうしてもって場合はあるだろ」

頭固いですねーと今度は新井が深いため息を着く。そして、ビシッと俺の事を指をさして

「とりあえず気になるのならまずは仲良くなってみたら分かるかもしれないっすよ？もしかしたら先輩の運命の人かもしれねぇしチャンスですよ！」

「…お前なんでそんな楽しそうなんだよ…。」

「てことで今日から俺が先輩の恋愛アドバイザーになるんで、頑張りましょうね、先輩！」

「…はぁ…。」

けどちょっと興味は湧いたから少し話してみようかと思った。