不器用なりの愛情表現【黒尾鉄朗】 (ページ15)

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「…あの、黒尾さん。」

「あ、悪ぃ…どうかした？」

沈黙がしばらく流れたあと、なにか話題を変えようと思いそういえば会ったら今度必ず聞こうと思ってたことを聞いた。

「いや…その、うちの園児の子…迷惑掛けてたりしませんでしたか…？その、…トサカとか呼んでたりしてたもので…」

失礼だったら申し訳ないです。とペコッと頭を下げる。しばらくするとふふっと黒尾さんが少し笑ってぶはっと吹き出して笑っていた。

「そんなこと気にしてたのかよ、Aちゃん
あれは別に言われ慣れてるし、それに悪気がある訳じゃねぇんだろ？」

「まぁ…そうなんですけど…けど先生って呼んだ方が黒尾さんもいいですよね…？」

「そうだけども、けど別に怒らねぇよ
寧ろその方が仲良くなれるならそれでいいって」

子供なんだから仕方ねぇよとニコッと笑う黒尾さん。もし気にしていたらどうしようと思ったけどどうやら受け入れてくれてるみたいで良かったとほっとした。

「ま、けど俺の事気使ってくれてたんだろ。」

ありがとうなと言われポンッと頭を撫でられる。
それが嬉しくて少しだけ頬が赤くなったのが自分でもわかった。

「…っ…あの、家ここなので…今日は失礼します」

「Aちゃんここのアパートだったのか、
俺はもうちょい先のとこだし…今日はありがとな」

久々にこんな話せたの楽しかったと言われてヒラヒラーっと手を振りながら別れを告げようとしたけど、なんだか楽しかったからか少し寂しくてまだ話したいなと思ってしまった。

(…連絡先…教えて欲しい…とか迷惑かな…)

けどもっとこの人の事を知りたいと思ってしまった。週一しか会えないしそれ以外では話す機会はないから今聞かないと逃してしまうのではと思いあの、と彼を引き止めた。

「……連絡先…交換……しま…せんか…？」

「…え？」

しばらく目を見開いて驚いた顔をした黒尾さん。良いよ。と返事が返ってくるとスマホを取り出して連絡先を交換した。

「んじゃ、またなAちゃん。」

「おやすみなさい、黒尾さん。」

・

＿＿黒尾 side

(……すっげぇ緊張した…。)

連絡先交換したいと思ってたらまさか向こうから頼まれるとは思ってなかった…内心彼女と話してる時も結構緊張してたし…それに、

(あんな顔で褒められたら喜ばない理由ねぇわな…)

無意識だろうけどあんなのずるい。
俺は1人頭を抱えていた。