33時間45分 ページ10
「勇利は中国大会の時、あのFSが自分を1番落ち着かせてたと思う。あれって、試合前に泣かせてたんだよね？今回も泣かせばいいんじゃない？」
「リスク高いね、それ」
「うん。でもね、きっと勇利も気づくよ。あれ、なんかデジャブだ、ってね」
前回一緒に寝たのはロシア大会の時だ。あの時はマッカチンがいたが、今日は2人だ。足が触れると、すり寄せるように絡める。しかし、そこに男女の色は一切ない。一般的に見たらこれは浮気になるのかな、とか思ったけれど、お互いにそんな気持ちは一切ない。たぶん、兄妹のような、父娘のような、家族的な感じだろうと思う。
「スケートの事に関しては、私は口出しできない。これは、ヴィクトルと勇利の大事な事だから」
「…うん」
「でも、前にも言ったよね。私、ヴィクトルの事大好きだって。大好きな人を泣かせるようなら、泣かせた相手に容赦はしないよ」
「相手が勇利でも？」
「もちろん。ヴィクトルが勇利を泣かせたら…まぁ、なんとかする」
「なぁに、それ」
泣き疲れたのか、ヴィクトルの目がだんだん閉じてきた。
「今日はもう寝よう。泣いても笑っても、今回のGPFは明日なんだから。コーチだって最高のコンディションで挑まないと」
「うん。…ありがとう、A」
「どういたしまして」
ヴィクトルは目を閉じて数分で眠りに落ちた。
私はヴィクトルの腕からそっと抜け出し、暖かいタオルを用意し、ヴィクトルの目の上に乗せた。明日泣いた後が残ると大変だ。何回かタオルを変えてやる。
目が冴えてしまった私は携帯を触る。
いつもはアラームや仕事の電話でしか使わなかったのに、いつの間にかアルバムにはたくさんの写真が増えている。
ヴィクトルが来て、ユリオが来て、温泉 on ICEがあった。ユリオがロシアに帰って、夏になった。秋になると国内大会があって、あっという間にGPシリーズが始まった。
写真には勇利やヴィクトル、ユリオ、そして勝生家のみなさん、そしてスケートを通して知り合ったピチット、クリス、そして大和。
こんなに濃い時間を過ごしたのは初めてだった。
始まりは、ヴィクトルが来てから。今まで踏み込もうとしなかった勇利の大切なもの。怖くて踏み込めなかったもの。手を取って、一緒に踏み込んでくれた。
彼には本当に感謝している。
「ありがとう」
私とヴィクトルの、この不思議な関係は終わらないと信じている。
今までの全ての出会いに感謝を込めて、額にキスを落とした。
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みのりん - めっちゃ感動したし胸キュンも止まりませんでした(*´Д｀*)素敵な作品を有難うございました！ (2018年2月24日 0時) (
レス) id: d4ae6c081b (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/閲覧出来ませんでした。サイト名載せていただけると助かります！ (2017年7月29日 22時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
佳歩(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/で調べたのですが閲覧できませんと出てしまい他の調べ方などないですか？ (2017年7月29日 19時) (レス) id: c55f7a31e6 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 宇佐木さん» 残念ですが、見つかりませんでした…。 (2017年2月24日 6時) (レス) id: 2ff9f67844 (このIDを非表示/違反報告)
宇佐木(プロフ) - 柚子さん» 「ずっと待ってる。番外編」としています。私も対応できるよう努めますので、いつまでも見つからない場合はご面倒だとは思いますがまたご連絡ください。よろしくお願いしますm(_ _)m (2017年2月23日 7時) (レス) id: 871fe467c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇佐木 | 作成日時：2017年1月10日 21時
