32時間40分 ページ6
「ちょっとA、どういう事?」
あ、ヤバい。これは相当怒ってる。みんなの共通言語である英語ではなく日本語を使ってくるあたり、そう感じる。私とミナコさん、真利さん、そして大和以外はチンプンカンプンといった表情だ。
「ロシアでは、左の薬指は離婚や死別した時にって事らしいんだけど。それでもいいなら左にすれば?」
「そういうことを言ってるんじゃない。知ってたなら教えてよ」
「ごめん、怒らないで」
「怒るに決まってるだろ。それなら別の物にしたのに。Aのそういう所、ほんと嫌い」
「私はそうやって私の関係もヴィクトルとの関係も大事にしてくれてる勇利が好きだよ」
勇利が怒る理由は分かる。しかしその理由の根本には、私の事を大切にしてくれているという気持ちがある。勇利はそこは言葉にはしてこないけど、目を見ればなんとなくわかる。
おろおろしているみんなと、日本語がわかる女性陣は固唾を飲んで見守る。
珍しく怒っている勇利と、なぜか笑っている私。
はぁ、とため息をついたのは勇利だった。
「GPF終わったら、指輪買いに行くから」
「はーい」
「あの、A?ケンカ?俺のせい?」
私と勇利の間に挟まれていたヴィクトルは若干涙目になりながら私の服の裾を掴んで訪ねてきた。
「違うよ。ヴィクトルは何にも悪くない。私の作戦勝ちだっただけ」
少し高いところにある頭をポンポンと撫でてやると、ヴィクトルはホッと胸をなでおろした。
「おいおいおい、みんな揃って食事か?」
少し馴れ馴れしい話し口調。そこには美男美女カップルがいた。
「ま、俺はこの可愛い彼女とディナーを楽しんできたところだけどな!!!」
「JJ…」
「さ、みんな!明日朝早いし解散!!」
そう言ったのはヴィクトルだった(会計はなんとヴィクトルとクリスが出してくれた)。
彼らのことはほぼ視界に入れずにさっさと出て行ってしまう選手たち。少しだけJJと呼ばれた彼が不憫に思えた。
ーーーー
翌日。GPF、SPの日である。
昨日和気藹々とご飯を食べていたメンバーは今日は敵同士だ。ピリピリとした緊張が客席にいても伝わってくる。
第一滑走は勇利だ。
私が滑るわけでもないのに、緊張で心臓が破裂しそうだった。
リンクに勇利だけが残される。
いよいよ、始まる。
311人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みのりん - めっちゃ感動したし胸キュンも止まりませんでした(*´Д`*)素敵な作品を有難うございました! (2018年2月24日 0時) (レス) id: d4ae6c081b (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/閲覧出来ませんでした。サイト名載せていただけると助かります! (2017年7月29日 22時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
佳歩(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/で調べたのですが閲覧できませんと出てしまい他の調べ方などないですか? (2017年7月29日 19時) (レス) id: c55f7a31e6 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 宇佐木さん» 残念ですが、見つかりませんでした…。 (2017年2月24日 6時) (レス) id: 2ff9f67844 (このIDを非表示/違反報告)
宇佐木(プロフ) - 柚子さん» 「ずっと待ってる。番外編」としています。私も対応できるよう努めますので、いつまでも見つからない場合はご面倒だとは思いますがまたご連絡ください。よろしくお願いしますm(_ _)m (2017年2月23日 7時) (レス) id: 871fe467c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:宇佐木 | 作成日時:2017年1月10日 21時