37時間 ページ20
数時間前にはきっちり決まっていたスーツも、今はジャケットがなく、ネクタイも緩められており白いシャツもシワがついていた。
勇利の周りにはそれと同じような状態のヴィクトルとクリスがいたが、彼らはまだ正気を保っているようだった。そう、彼らは。
「あー、A！ほんっときれいだよね、美しいよ！」
そう日本語で口走った勇利の呂律はすでに怪しく、ヴィクトルとクリスは爆笑していた。
「ねぇA、勇利なんて言ってるの？」
「告白？告白されてる？」
「……あんたらね」
この状況を楽しんでいる二人と、半ば押し付けられた私。これは、怒ってもいいだろう。
私はヴィクトルとクリスの胸ぐらを掴み、自分の方へ引き寄せた。
「今勇利を介抱して私に許してもらうのと、この場を私に任せてあとで説教食らうのと、どっちがいい？」
「介抱します」
「勇利、ほら勇利起きて！水飲んで！」
二人は慌てて勇利の介抱へ向かった。
その一連の流れをピチットは動画にバッチリ納め、ユーリとオタベックは傍観、そしてきれいな女の子二人は爆笑していた。
「嫁強い！」
「尻に敷かれてる！」
「…ユリオ、この子たちは？」
「ああ。女子スケーターのミラとサーラだよ」
見る限り、おそらく私より年下である。初対面での印象が鬼嫁って嫌だな…。
「勇利」
「A…Aは、僕でいいの？」
「…何が？」
「僕のこと、ずっと待っててくれた、けど…ほんとに、ぼくで、いいの？」
マリッジブルー？
そう思ったのは私だけではないはずだ。
「私は、勇利に選ばれなかったらずっと1人でいようとしてた」
「え？」
「今はこうして一緒にいれることが嬉しい。勇利がいい。私には勇利しかいない。…不安なら、一緒にいるし言葉もあげる。大丈夫よ、勇利」
ぽんぽん、と髪を撫でてやる。
勇利はぐずぐずと泣き出してしまった。鞄に入れていたハンカチを勇利の目にあてる。
「疲れたでしょ。ホテル戻ろ？」
「ぐす、っうん…」
私たちの会話は全部日本語だ。ここには日本人は大和と数人の関係者のみ。こんな恥ずかしい言葉を人前では言えないからそうした。案の定、みんなチンプンカンプンといった表情だ。
「ごめんヴィクトル。先に勇利連れて戻るね」
「わかった。俺はユリオの部屋に泊まるよ。勇利に襲われてもスキンは必ずつけさせるんだよ」
「そうなったら全力でぶっ飛ばすから大丈夫」
未だに泣いている勇利の手を取り、会場を後にした。
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みのりん - めっちゃ感動したし胸キュンも止まりませんでした(*´Д｀*)素敵な作品を有難うございました！ (2018年2月24日 0時) (
レス) id: d4ae6c081b (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/閲覧出来ませんでした。サイト名載せていただけると助かります！ (2017年7月29日 22時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
佳歩(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/で調べたのですが閲覧できませんと出てしまい他の調べ方などないですか？ (2017年7月29日 19時) (レス) id: c55f7a31e6 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 宇佐木さん» 残念ですが、見つかりませんでした…。 (2017年2月24日 6時) (レス) id: 2ff9f67844 (このIDを非表示/違反報告)
宇佐木(プロフ) - 柚子さん» 「ずっと待ってる。番外編」としています。私も対応できるよう努めますので、いつまでも見つからない場合はご面倒だとは思いますがまたご連絡ください。よろしくお願いしますm(_ _)m (2017年2月23日 7時) (レス) id: 871fe467c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇佐木 | 作成日時：2017年1月10日 21時
