35時間 ページ16
表彰式が終わった。
銀メダルをかけられた勇利はとても晴れ晴れとした顔をしていた。勇利は、これからどうするのだろうか。
大和はクリスのところへ行き、私は勇利とヴィクトルを待つためロビーへ向かう。きっともうすぐ、衣装から着替えた勇利とヴィクトルが来る。
「あ、いた！！」
知らない声がした。それもそうだ。そこには大勢の報道陣がいた。しまった、と思った時にはもう遅く、囲まれてしまった。
「やはりあなたは勝生選手の恋人なんですか？」
「演技終了後に何か渡してましたよね？」
「あの時の会話はなんと？」
「…っノーコメントです！勝生選手に聞いてください。私からは何も言えません」
報道陣はしつこい。囲まれたことはあるが、その時はヴィクトルが助けてくれた。今回もそうとは限らないのでなんとか振り切ろうとするが、何度も撒いているのでなかなか逃してもらえない。
困っていると、安心する声が聞こえた。
「A！あの、ちょっと通してください！」
勇利だ。報道陣をかき分けて私のところまで来る。
ジャージだが、演技の時のままオールバックに眼鏡をかけている。いつもと違う雰囲気に不覚にもときめいてしまった。
するりと取られた私の右手。不意に触れた左手首には先ほど渡した時計がつけられている。
「勝生選手、彼女とはどういった関係で？」
「恋人なんですか？」
「かっ、彼女はよっ…！！」
よ？
「嫁です！！！」
・
・
・
「しっ、失礼します！」
誰も何も言えなかった。その隙をついて勇利は私の手を引き、報道陣を押しのけるようにしてその場を離れた。
勇利はなんと言った？
ーよ…っ！！嫁です！！！
「あの、勇利？！ちょっと待って！」
そう言うと突然止まるものだから、私は勇利の背中にぶつかってしまった。
「僕、現役続けるよ。ヴィクトルも現役復帰して僕のコーチを続けてくれる。まだ先の話だけど、多分ロシアのサンクトペテルブルクに行く。少なくとも5年間」
「そう、なんだ」
5年。私と勇利が離れていた期間だ。
私たちの関係はその時とは変わっている。ずっと待っているつもりではいるが、また5年間も待ち続けられるだろうか。
「Aも一緒に来て」
「…え？」
「一緒にご飯食べたいしカツ丼も作ってほしい。一緒に散歩したり、まだまだやりたいことがいっぱいある」
グッと力強く抱きしめられる。
「結婚して、A」
「…ん」
嬉し涙が頬を伝った。
周りからシャッター音が聞こえたが、今は気にならなかった。
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みのりん - めっちゃ感動したし胸キュンも止まりませんでした(*´Д｀*)素敵な作品を有難うございました！ (2018年2月24日 0時) (
レス) id: d4ae6c081b (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/閲覧出来ませんでした。サイト名載せていただけると助かります！ (2017年7月29日 22時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
佳歩(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/で調べたのですが閲覧できませんと出てしまい他の調べ方などないですか？ (2017年7月29日 19時) (レス) id: c55f7a31e6 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 宇佐木さん» 残念ですが、見つかりませんでした…。 (2017年2月24日 6時) (レス) id: 2ff9f67844 (このIDを非表示/違反報告)
宇佐木(プロフ) - 柚子さん» 「ずっと待ってる。番外編」としています。私も対応できるよう努めますので、いつまでも見つからない場合はご面倒だとは思いますがまたご連絡ください。よろしくお願いしますm(_ _)m (2017年2月23日 7時) (レス) id: 871fe467c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇佐木 | 作成日時：2017年1月10日 21時
