34時間30分 ページ14
「これでもまだ身体がいうこと聞かないなら、JJも連れて来て一緒に引っ張って行くわよ」
「ふふ、大丈夫です。行けます」
さっきまで脱力していたため、とても身体が重かった。しかし今はどうだろう。とても軽かった。
「イザベラ、ありがとうございます」
「いいのよ。敬語もいらないわ。またバンケットで話しましょ」
「…うん。じゃあ、また」
今はどの辺りだろうか。私はイザベラの横を通り過ぎ、会場内へ向かった。
ちょうど、ピチットの得点が出終わった所だった。
リンクサイドでは勇利とヴィクトルがハグをしている。
私は客席の最前列まで走って行く。周りの人はとても驚いているみたいだったけど、全然気にしない。とにかく今は、これを伝えたい。
「勇利!!!」
周囲の声援が大きく、私も負けじと声を張った。もしかしたら聞こえないかもしれない。
しかしそんな不安をよそに、勇利は私の声に気づいて振り返った。ヴィクトルも驚いた顔をしている。
「ずっと待ってるから!!!」
勇利は私の言葉を聞くと、綺麗に微笑んでリンクの中心に立った。
おそらく周りの人からしてみれば何のことか分からないだろう。
これは、私から勇利への愛である。
勇利のテーマは"愛"である。勇利はヴィクトルと出会ってから周りの様々な愛に気づいた。私から勇利への愛は「ずっと待ってる」ということだ。勇利の帰る場所でありたい。暖かく迎えてあげたい。そういう気持ちが篭った言葉だ。
勇利の顔はとても晴れ晴れとしていた。
ああ、彼はもう大丈夫だ。
YURI on ICE
ヴィクトルが振り付けたこの曲は本当に勇利の持つ美しさが際立つ。ステップ、ジャンプ、全て高難度ではあるが、今の勇利には関係なかった。
ヴィクトルの代名詞である四回転フリップも決めた。
会場は歓声で溢れている。鳴り止まない拍手、スタンディングオベーション。
曲が終わると、勇利は声を張った。やりきったのだ。彼の中での今までの最高の演技だった。
勇利は客席に向かってお辞儀をして、投げ込まれるプレゼントをいくつか拾い上げる。
すると、私の方にやってきた。
「…びっくりしたんだけど」
「うん。でも、叫ばずにはいられなくて。…あ、そうだこれ。渡すタイミングよくわかんなかったんだけど」
ポケットから取り出し、勇利にポイっと投げると慌ててキャッチした。
それは、一昨日買い物をした時に見つけた時計だった。
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みのりん - めっちゃ感動したし胸キュンも止まりませんでした(*´Д`*)素敵な作品を有難うございました! (2018年2月24日 0時) (レス) id: d4ae6c081b (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/閲覧出来ませんでした。サイト名載せていただけると助かります! (2017年7月29日 22時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
佳歩(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/で調べたのですが閲覧できませんと出てしまい他の調べ方などないですか? (2017年7月29日 19時) (レス) id: c55f7a31e6 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 宇佐木さん» 残念ですが、見つかりませんでした…。 (2017年2月24日 6時) (レス) id: 2ff9f67844 (このIDを非表示/違反報告)
宇佐木(プロフ) - 柚子さん» 「ずっと待ってる。番外編」としています。私も対応できるよう努めますので、いつまでも見つからない場合はご面倒だとは思いますがまたご連絡ください。よろしくお願いしますm(_ _)m (2017年2月23日 7時) (レス) id: 871fe467c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宇佐木 | 作成日時:2017年1月10日 21時