30時間 ページ1
昔から、人の気配には敏感だった。
後ろから忍び寄る友人が、私を驚かす前に振り返る。「何でわかるの？！」と興奮気味にいった友人は、いつしか驚かすことを目的とせず、いかに気づかれずに背後から近づけるかという全くもって趣旨の違う遊びへと進化していった。
そのせいか、電車などの公共交通機関で睡眠を取ることはできた試しがない。飛行機の何十時間のフライトではさすがに眠気に襲われるが。
なぜ私がこんなことを言い出したかというと、今まさにGPFが開催されるバルセロナに向けて出立しているからだ。
飛行機は思ったより人が多く、なかなか落ち着いて眠ることができない。
「A、まだ起きてるの？」
「勇利こそ」
振り返って後ろの座席を見ると、勇利とヴィクトルがいる。離陸して5時間。いつの間にか後ろから会話が聞こえてこなくなったと思ったら、ヴィクトルは気持ち良さそうな顔で勇利の肩を借りて眠っていた。さすがというか、まるで彫刻のように通った鼻筋、長い睫毛はとても美しかった。だが口元はフニャリと笑っており、少し開いた口からは涎が垂れそうだ。
「ふふ、なんか子供みたい」
「ええ？ヴィクトルは27歳だよ？」
「可愛いじゃない。27歳児ヴィクトル」
「ちょっと」
27歳児とは。言い得て妙だ。
2人はヴィクトルを起こさないように、声を抑えて笑った。
「向こうついたら、買うんでしょ？お守り」
「うーん。いいのがあったらって感じ」
「このお店、結構有名だよ。日本にはまだないジュエリーショップ」
前に言っていたお守りの件。勇利は現地で選ぶつもりらしかったが、私は勇利とは違い、しっかり下調べをしていた。携帯でその店のホームページを開く。
すると勇利は、微妙な表情をしていた。
「どした？」
「Aはさ、嫉妬とかしないの？」
「するよ。何言ってんの」
「ええっ、そんな素振り一切見せないじゃないか」
「…まぁ、ヴィクトルは別でしょう。勇利にとってヴィクトルが特別なように、私もヴィクトルは特別。もちろん、勇利も特別のなかの特別」
そういうと、勇利は何かを考え込むように黙り込んでしまった。
「そろそろ寝よう。時差ボケはしんどい」
「ん、そうだね。あっA、良かったらプレーヤー貸すけど」
「借りたい。ありがとう」
勇利からの申し出をありがたく受け取り、曲を選択する。選んだのは「YURI on ICE」。
ピアノの音に耳を傾け、そのまま意識を落とした。
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みのりん - めっちゃ感動したし胸キュンも止まりませんでした(*´Д｀*)素敵な作品を有難うございました！ (2018年2月24日 0時) (
レス) id: d4ae6c081b (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/閲覧出来ませんでした。サイト名載せていただけると助かります！ (2017年7月29日 22時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
佳歩(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/で調べたのですが閲覧できませんと出てしまい他の調べ方などないですか？ (2017年7月29日 19時) (レス) id: c55f7a31e6 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 宇佐木さん» 残念ですが、見つかりませんでした…。 (2017年2月24日 6時) (レス) id: 2ff9f67844 (このIDを非表示/違反報告)
宇佐木(プロフ) - 柚子さん» 「ずっと待ってる。番外編」としています。私も対応できるよう努めますので、いつまでも見つからない場合はご面倒だとは思いますがまたご連絡ください。よろしくお願いしますm(_ _)m (2017年2月23日 7時) (レス) id: 871fe467c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇佐木 | 作成日時：2017年1月10日 21時
