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盗賊.58 ページ9

『盛り上がってるね』




ゲームを求めて競売が行われていた。
数百億といった数字が会場を飛び交う。




「参加しないのか?」







『弟が頑張ってるみたいだから不参加で』






そう言って笑う彼女の視線の先を追ってみる。
するとそこには息を荒げ、激しい競り合いを繰り広げる(ミルキ)がいたのだった。






「…………あれもお前の弟なのか」






ミルキとAを見比べる。
常に涼しげな表情を浮かべているAとミルキは似ても似つかないように思えた。




『まるまるしてて可愛いでしょ』






「姉弟とは思えないな」







『キルアと私は似てるんだけどね』







Aは組んでいた足を解き、立ち上がる。







「世間話は終わりか?」








意図を読み取り、クロロは小さく笑う。








『うん、もう十分。行こっか』













車が横転し炎上している。
その下には惨殺された死体が転がっていた。





「派手にやったな」





フィンクスはそんな死体を踏み付けながら笑う。






『ん、早くゲームしたくてつい』





Aは車から飛び降り、着地する。
銀髪が羽のように広がり落ちていった。






「お前やっぱりつえーな」






隙一つ感じさせない背中に関心を示す。
旅団の彼から見てもAは強者だった。







『随分と私を買ってくれているんだね』








Aは流し目でフィンクスを見る。
長いまつ毛が妙に色っぽく感じた。






「事実だろ?それにコイツと違って俺はお前のこと嫌いじゃねーしな」







フェイタンは舌打ちをする。
Aは『光栄だなあ』とゲームを眺めながら呟く。





『あ、このゲームってクリアするまで出れなかったりするのかな?』






「そういった説明はなかったが、それも視野に入れた方が良さそうだな」







『そっかー』






少し何かを考えたあと、Aはフェイタンにゲームを投げ渡したのだった。






『あーげるっ』






思わぬ行動に少し目を見開くフェイタンにAはにやにやと薄笑いを浮かべる。






『先にプレイしててよ』








「…………お前今度は何するつもりね」









『ん、ただゲームをする前に用事を済ませるだけ』








嫌なことは早めに終わらせないとね











不敵に笑う赤毛の男を思い出す。








『…………ようやく再挑戦(リベンジ)だね』









暗殺者は目を光らせた。


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作者名:ゆき | 作成日時:2024年3月22日 12時

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