盗賊.55 ページ6
暫くしてパクたちが到着する。
「ちゃんと連れてきたわよ」
『こっちも無事に終わったよ』
「そう。貴方たちもう行っていいわよ」
Aとクロロはパクたちの元。
そしてゴンとキルアはクラピカの元へとゆっくりと歩いていく。
『キルア？』
その途中でキルアに抱きつかれたのだった。
「…………姉貴、ありがとな」
そう告げては足早に去っていった。
そんな二人を横目にクロロは笑う。
「やはり血族だったか」
『可愛いでしょ？自慢の弟なの』
悪びれなく笑うAにクロロは「そうか」と呆れたように返事をする。彼女はどこまでも気まぐれで猫のようだった。
『でも、クロロはこれでよかったの？』
「正直、鎖野郎を殺れないのは惜しい。だが、お前があの鎖を持っている以上、下手に動けないのが現状だ」
鎖を奪うことで両者の行動を制限する。
『あはっ、話が早くて助かるなあ』
子供を捕まえ、鎖野郎の情報を吐かせようものならAは容赦無く鎖を振り翳すだろう。結果的に蜘蛛はAに安易に手が出せなくなり、鎖野郎を始末する事は困難になったのだ。
「癪だが、全てお前の思惑通りってわけか」
『ふふんっ褒めてくれてもいいんだよ？』
「その前にやる事があるからな」
『ん？』
きょとんとするAの腕を強引に引く。
「忘れたか？」
そして、その細首に唇を落としたのだった。
そんな言葉を思い出し、目を見開く。
「言ったからにはやらないとな」
クロロは意地悪に笑う。
Aは見開いた目を戻し、頬を掻く。
『……………もう時効じゃないかなあ』
「お前は俺を甘く見過ぎだ」
『うっ』
観念しろとばかりに腕を乗せる。
『もー重いなあ』
すると、Aは気怠そうに目を細めながら見上げてきたのだった。そんな
「もう言い訳は必要無いな」
俺は強く気高いこの女に心底惚れているのだ。
盲目だと言われてもいい、瞳にはこの女しか写っていないのだから。
歯止めが効かなくなる。
『！』
強く抱きしめられる。
「時間が惜しい、一刻も早く帰るぞ」
もう手加減はしない。
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作者名：ゆき | 作成日時：2024年3月22日 12時
