悪役.04 ページ5
今日は3年生の演習試験を担当することになった。
「ねえねえ、遅いよAちゃん。ずっと待ってのに」
『ごめんごめん、中々ヒーローとの両立が難しくて』
「むう」
頬を膨らませるねじれを何とか宥める。
すると機嫌が直ったのか、それとも引きずらない性格なのかいつも通り抱きついてきたのだった。
ねじれ………私一応先生なんだけど。
そんな感じでねじれと戯れていると、ミリオと環も来たのだった。
「Aさん！もちろん、俺らと戦いますよね！？」
「……緊張するけどそれだったら楽しみ」
「ねえねえAちゃんと戦えるの！！楽しみ！」
『ちょ、まだ組み合わせは聞いてないから………』
「おい、そろそろ準備しろ。始まるぞ」
相澤に言われても尚3人は引き下がることなく「俺らの相手はAさんですよね！？」と前のめりになった。
さすがはビック3、中身までも大物だ。
「おまえらがそんなにコイツとやり合いたいなら俺から言っておく。だから早く着替えろ」
『は、ちょっと相澤くん！？』
「やったね。よろしくね、Aちゃん」
嬉しそうにする3人にAは何も言えなくなる。
「負けるなよ」
『……相澤くんの意地悪』
はあ、本当に手のかかる後輩たちだ。
・
「Aさん、宜しくお願いします！」
そんなミリオの掛け声と共に試験が始まった。
ミリオが前衛、ねじれと環は後衛という戦法で3人はAとの距離を詰め始める。
Aは手袋を片手だけ外した。
「本当によかったの、Aくんでもあの3人相手はキツイでしょ」
試験を見ていたオールマイトは思わず口に出す。
そんなオールマイトに相澤は「大丈夫でしょう」と迷いなく言い放つ。
「あいつは強い。それは1番近くで見てきた俺がよく知っています」
「……そうだね、君が言うなら間違いないね」
相澤はAのことを心から信頼しているのだ。
それはAも同じだった。
『動きが良くなったね、3人とも』
「……なんで個性を使わないんですか」
ビック3たちは汗を拭いながらAに問う。
するとAは『なんでだと思う？』と意地悪に笑ったのだった。
「(________この人は本当に強すぎる)」
始まって早10分。
誰もAに触れることすら出来ずにいたのだった。
『やってみなよ、ヒーローたち』
・
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月13日 23時
