悪役.34 ページ35
「後始末、頼んだよ」
常闇がついた頃にはもう既に敵の制圧が完了し、捕縛されていたのだった。ホークスは宙に浮いた羽を自身に戻し、Aは外していた手袋をはめ直している際中だった。
息一つ上げてない二人を常闇は薄めで見る。
『あ、常闇』
そんな視線に気づいたAは常闇の所まで駆け寄る。
そして心配そうな表情で声をかけたのだった。
『汗凄いけど大丈夫？水飲んだりするんだよ』
「…………ああ、」
『体調悪かったら________』
Aと常闇の間に羽が舞い落ちる。
「ほら行くよ、他にもまだ敵がいるかもしれないし」
『わ、ちょっと！先輩！』
ホークスと常闇の視線が交わる。
「君も地面に縛りつけられる必要なんてない」
・
二人はビルの屋上に降り立つ。
風に煽られAの赤色の髪がなびく。
「流石に風が強いな」
『なんで遮ったりするんですか』
むすーっとするAの頭を撫でながらホークスは笑っては「彼はヒーローだから」と言ったのだった。
ホークスは翼を大きく広げる。
「君から見れば彼は生徒なんだろうけど俺から見れば彼も立派なヒーローの一人だからね」
『……………』
「君だってあのぐらいの時、大人になろうと藻掻いてた時期があっただろ」
ホークスは空を見上げる。
「それを乗り越えたからこそ強くなれた」
核心を突いたような言葉にAは目を見開く。
______俺はおまえに幸せに生きてほしいだけだ
いつの日か言われた最愛の人からの言葉を思い出す。
『(………忘れてたな、)』
Aは自傷気味に笑う。
『先輩は私の何から何まで知ってますね』
「好きな子の事は知っておきたい性分でね」
『ふふ、なんですかそれ』
Aは手袋を外し、ホークスと向き合う。
強い意志を持った瞳にホークスは思わず生唾を飲む。
_______相澤くん、私……やっと大人になれたよ。
『もうこれはいらない。私も進まないとですね』
ここからが私のヒーローアカデミアだ。
・
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月13日 23時
