.*悪役ヒーロー*. (ページ34)

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悪役.33 ページ34

「おはよう、よく寝れた？」

そう言って笑うホークスにAは眠い目を擦りながらも挨拶をする。

太陽がやけに眩しく感じられた。

『今日は何をするんですか？』

「とりあえずパトロールかな………って、寝癖」

ホークスが寝癖を指差すとAは『直らなくて』と小さく欠伸をしながら言ったのだった。朝に弱いのか、ややオフ感のあるAに「そういった一面もあるのね」とホークスは内心背徳感を感じる。

『先輩、いじらない』

はねている髪をホークスに遊ばれていると背後から少し驚いた表情をした常闇が歩いてきたのだった。
Aとホークスは軽く手を振る。

「………爆弾魔、何故ここに」

『あれ、先輩言ってなかったの？』

「…………えっとサプライズ」

『嘘だ、言い忘れてたでしょ』

じーっと見てくるAをいなすように頭をぽんぽんと撫でながら常闇に視線を向ける。
そしていつものようにフッと笑う。

「さて、行きますか」

・

ホークスは飛びながら、そしてAも跳びながらパトロールをする。空中を自由に飛び回るホークスに劣らずAは建物を横断していく。

「ほんとあの2人すげーよな」

そんな二人を常闇とサイドキッカー達は見ていた。

「俺、爆弾魔からサイン貰おうかな！TVで見てからファンだったんだよ！ランキングにも入ってるし」

「辞めとけ、ホークスに怒られるぞ」

「しっかし、本当に仲良いよな。仕事の度に二人で飯行ってるし」

「…………」

そんな3人の会話を横目にしながら常闇はそんな二人に手を伸ばしたのだった。
その距離はあまりにも遠く、届く気はしない。

常闇は手を固く握った。

「翼がある訳でもないのによくついてこれるね
　俺のサイドキッカー達でさえ追いつけないのに」

『何回一緒に仕事したと思っているんですか
　置いていかせませんよ！』

「ふーん、言うじゃん後輩」

ニヤリと二人は好戦的に笑い合う。
初めて一緒に仕事した時からAはホークスについてくることが出来ていたのだった。

彼女の適応能力や潜在能力は測りきれないものだ。

「おっとお仕事の時間だ。爆弾魔、いくよ」

『了解、ホークス』

二人は急降下した。