.*悪役ヒーロー*. (ページ29)

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悪役.28 ページ29

2日目

「久しぶり、まさか君が来てくれるなんてね」

『お久しぶりです
　今日はお世話に____________って、どうした爆豪』

髪を8対2ピッタリ分けている爆豪を見てAは思わず吹き出したのだった。
爆豪が「笑うな！！」と怒鳴れば髪は元に戻った。

「こいつにやられたんだよ！これは俺の意志じゃねえ！」

『いいじゃん、面白くて好きだよ。私は』

「ふざけんな！！テメェ！いつまで笑ってんだァ！？」

口元に手を当てて笑うAに爆豪は目を吊り上げる。
そんな爆豪にAはズレたゴーグルを直しながら『ごめんごめん』と平謝りをしてはベストジーニストと向き合った。

『改めて今日はお世話になります！夕方ごろに九州に行かないとなので長居は出来ないのですが』

「九州………ああ、奴か。随分とご執心だな」

『まさか仕事ですよ。で、これから何を？』

「とりあえずパトロールの予定だが同行してくれるかな」

ベストジーニストの後ろを爆豪と一緒に着いて回る。
外に出ればファンに手を振られたり、声をかけられたりとベストジーニストの人気は相変わらずだった。

『凄い人気ですね、流石はNo.4』

「君だって人気あるじゃないか。ほら、手振ってあげなよ」

『わっ』

ベストジーニストに両手を掴まれ強制的に手を振るように動かされたのだった。

ファンの間では歓声が上がった。

「ファンに応えるのもヒーローの勤めだよ」

『……頑張ります』

「いい子だ、このふわふわした髪もピシッとしてあげるよ」

『それは遠慮しておきます！！』

そんな話をしていると爆豪に肩を掴まれたのだった。

「アンタと俺の個性似てるな。どうやったらそこまで扱えるようになるんだよ」

『沢山練習した、じゃ納得いかない？』

「そんな事はわかってんだよ！説明下手か！」

罵倒する爆豪をよそにAは顎に手を当てる。

『……うーん、言葉にするのは苦手なんだよなあ』

そんな事を呟いていると頭に手を置かれたのだった。
上を見てみるとベストジーニストと目があった。

「よかったら、教えてあげなよ。せっかくだし」

『え、でも職場体験中……』

「よし、そうと決まったら早よしろや！！
　時間が勿体ねえ！！」

『わっ』

爆豪に強引に担がれたのだった。

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