悪役.21 ページ22
体育祭が終わり数日が経った。
「敵だ！ヒーローを呼べ！」
そんな声を聞きつけたAは現場に急行する。
そして逃げ惑う人の流れに逆らい敵と思われる男の元へと向かったのだった。
「……子供……いや、」
敵はAを見ると「おまえが爆弾魔だな」と笑う。
『知られてるなんて、光栄だね』
「まさか本当に会えるとは…！
俺はおまえを倒す為に此処に来たんだ！覚悟しろ！」
敵はAに向けて個性を発動したのだった。
・
ガチャッとドアが開く音がする。
『……ただいま』
「随分と覇気のない声だな」
いつもとは違うAの声色を聞いた相澤は、気怠そうしながらも立ち上がり玄関に向かったのだった。
「おかえり____________って、どうした」
そして玄関にいるAを見て目を見開いたのだった。
『……あはは、小さくなっちゃった』
「…どういう原理だよ、それは」
『敵の個性にやられたの。小さくして私を倒す予定だったらしいよ』
Aは小さくなっていたのだ。
それは相澤とAが出会った頃と同じくらいに。
『……む、なんで笑うの』
「いや、随分と可愛くなったな」
『こっちは悩んでるのに他人事だなあ』
むすっとするAに相澤は「不可抗力だ」と言っては口を押さえ、笑いを堪えていた。
「でも、敵はやけにおまえにご執心だな」
『うーん、メディアが取り上げてたからかも』
「これだからアイツ等は……
気をつけろよ」
Aの頭にぽんっと手を置いたのだった。
そして宥めるような手つきでAの頭を撫でたのだ。
『ちょっと、子供扱いしないでよ』
Aは相澤の手を振り払うも相澤は「子供だろ」と言ってはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべたのだった。
『……意地悪だなあ』
Aは更にむっとする。
「戻るのにどのくらいかかるんだ？」
『効果は1週間ぐらいだって
その間ヒーロー活動も出来ないし厄介』
「まあ休めよ
ここロクに最近休めてないし良い機会だろ」
そう言って相澤はAの頭を自身の膝の上に乗せたのだった。
Aの顔にはハッキリと隈が刻まれている。
『……甘えさせてもらうね』
「ああ」
懐かしい感覚に身を委ねた。
・
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月13日 23時
