.*悪役ヒーロー*. (ページ21)

今日:2 hit、昨日:21 hit、合計:33,475 hit

悪役.20 ページ21

その後、なんとか洗脳を解いた緑谷は個性を使わないで心操に勝利したのだった。

『ちょっと、お水買ってくる。2人はいる？』

「俺コーラ！」

「ウィダー」

『相澤くんは飲み物じゃないよね、それ』

頼まれた物を買いにいく為、売店に向かって歩いていると後ろから名前を呼ばれたのだった。

「火造A」

振り向いてみるとそこにはNo.2ヒーローエンデヴァーがいたのだった。
Aの表情がパッと明るくなる。

「久しぶりだな」

『エンデヴァーさん、お久しぶりです』

Aはエンデヴァーの元まで駆け寄る。

「随分と名を上げてるそうだな
　新人とは思えない活躍振り、流石だ」

『まだまだですよ、あなたと肩を並べられるくらい強くなってみせます！』

「変わらないな、おまえは」

エンデヴァーは小さく笑う。
その容姿に見合わない程に強く真っ直ぐな瞳を向けてくるAと最愛の息子を重ねてしまっている自分を自傷的に笑ったのだ。

『わっ、ちょっともう子供じゃないですって』

エンデヴァーはAの頭を荒々しく撫でる。

「今からでもサイドキックとして歓迎しよう」

『本当ですか！もし________、』

Aは両手で口を抑えたのだった。
エンデヴァーは不思議そうにする。

「どうした」

『いや、何でもないです
　もっと名を挙げられるように頑張ります』

「ああ。これからも期待してるぞ」

そう言ってエンデヴァーは去っていった。

・

「随分と遅かったな________って何怒ってんだ？」

少し不貞腐れたような顔をするAに相澤とマイクは首をかしげる。
指摘されたAは『怒ってないし』と言い返す。

「それ怒ってる奴のセリフじゃねーか」

相澤は頬をぽりぽりと掻く。

『(決めたのは私だってわかってる、わかってるけど)』

Aはエンデヴァーからスカウトを受けた際に相澤のことを思い出してしまい、答えを出すことが出来なかったのだ。Mt.レディ達にスカウトされたことを知った相澤は不機嫌そうで、そしてどこか寂しげな表情をしていた。

________おまえが出ていったら、俺は

Aは買ってきた水を一気に呑み干す。

『……相澤くんのせいだから』

雛鳥は旅立つことを拒んだ。

・