.*悪役ヒーロー*. (ページ12)

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悪役.11 ページ12

「………頭冷やせ、ばか」

その声はAのかつてヒーローだった者だ。
悪役だったAをヒーローにしてくれた恩人であり、最愛の人なのだ。

「……おまえのやるべき事はそいつを倒すことじゃないだろ」

『！』

「敵から生徒たちを守ることだ」

その言葉にAは深く頷く。
そして死柄木と向き合った。

「……オイオイ、水差すなよな。ヒーロー」

『ありがとう、目が覚めたよ。緑谷、危ないから離れてて』

「ハア、残念だよ爆弾魔。
　おまえの相手は対平和の象徴____」

________________改人脳無

「精々死なないでくれよ？」

そう言って死柄木はニヤリと笑う。
脳無と呼ばれる改人はA目掛けて走り出した。

「やれ、脳無」

それは目にまとまらぬ速さでAに近づき、拳を落としたのだった。

大きな音と共に砂煙が舞う。

『私には効かないよ？』

　

Aに触れた瞬間、脳無は指先から伝うように肩まで赤くなり、爆発したのだった。
死柄木は首を引っ掻きながら「チートかよ…」と呟く。

『(威力が足りない、か)』

脳無は腕を再生させたのだった。
そして何事もなかったかのように立ち上がり、再びAに向かって行ったのだった。

『何回やっても同じだよ』

脳無は再び爆破させられ、今度は上半身を失ったのだった。

「それはこっちの台詞だぜ、ヒーロー」

しかし、それもものの数秒で再生していた。

『(本気を出せば燃やし尽くせる、でも生徒が………)』

Aのやることは決まった。

________5分

________________10分

____________________________15分

そして攻防戦が続いていく。
それでもAが消耗する事はなく、吹き飛ばされては再生するという単純作業を脳無は続けていた。

「……あーもういい。面倒だ」

痺れを切らした死柄木は生徒たちに目を向けた。
そして緑谷と蛙吹の目の前に移動し、その手を二人に振り翳したのだった。

「なあ、爆弾魔。これでも本気を出さないのか？」

Aは目を見開く、そして声にならない声を上げた。
駆けようにも距離は縮まる事はなかった。

「もう大丈夫」

そして、死柄木が二人に触れる1秒前。
それはきたのだった。

「私が来た！！」

オールマイトだ。