キミに届けたい。

冷たい。〜yuto side〜 ページ13

病院に着くと、急に悲しくなってきて。


実感が湧かないまま、病室へと向かう。







コンコン、



「おばさんっ、沙希は…！」


そう言いながら病室に入ると、


沙希の両親と、兄と妹がいて。


ベッドを見つめながら、涙を流している。


『優斗くん…。来てくれたのね。』


沙希のお母さんは、力なく微笑んだ。


『こっちよ。』


そう言われてベッドに向かうと、


そこには沙希が静かに寝ていた。


ちょっと前に会ったあの沙希だ。


ぷっくりとした唇、白くて柔らかい頬。


でも、その小さな手は


驚くくらい冷たくなっていて。


俺が握っても、握り返してくることはない。


「沙希。なぁ沙希。」


俺には、理解できなかった。


あの沙希が、まさか、死んでしまうなんて。


俺は何度も呼び続けた。


でも、いつものような


『なにー？優斗〜。』


という声は全く聞こえずに、


沙希の家族がすすり泣く声が


だんだんと大きくなるばかりで。


もう沙希はいないということを、


余計に俺に知らせただけだった。









沙希の頬に、俺の涙がぽたりと落ちる。


どんなときでも、笑顔で返事をしてくれて。


たくさん悩みを聞いてもらったりした。


『優斗ー！！はやくしないと遅刻だよ！笑笑』


『そっか。でもさ、優斗もこうだと思う。』


嫌なことがあっても、


沙希といれるならいいかなって思ってた。


それなのに。 別れは突然訪れて。


神様は、とてもイジワルだと思う。


すると、沙希のお母さんが口を開いた。


『沙希ね、亡くなる直前に、
“優斗と甲子園行く。”って言って
亡くなったの。』









それ、今日の約束だ。


そんなこと言われたら涙が止まるはずもなくて。


俺はひたすら、涙を流し続けた。

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ラッキー

すし

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