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拾参 ページ15

「……!寝てた……のか」




目を覚ますとなにやらベッドの上。
誰かが運んでくれたのか。




ベットの横にはメモ。




「……えーっと、起きたら飯だ……?」




朝ごはんを頂いたところでいいのだろうか。




ここがどこかすら分からないが、とりあえず散策がてら歩いていくことにする。




朝にここに来たはずなのに、もう夜だった。




ーーーー




いい匂い。
ご飯はもうできているのか。




「えーっと、すまん、待たせた、か……」




「あっやっとできたー!遅かったから心配してたんですよー?」



「もう俺腹ぺこ〜早く食いてぇ!」




「……すまんな。じゃあ早速、頂いても」





「……おい、A」




「アーサー?どうし、わ」





口の端を引っ張られる。




「ここに来てから1度も笑ってない。泣いてもいない」




「は、」




「……本当は、辛いんだろ。それを、必死に隠している」





俯く。
……だって、それは、そうだろう。私には、そのような資格など、




「……面白いなら笑え。辛いなら泣け。それに怒る者などいない」




……いい、のか。
脱走者で、どの立場から見てもはみ出し者の私が。
尊敬する人1人守れない私が。




普通に、人としての感情を、持っていいのか。


「……っふ、」




張り詰めていた糸が、切れた気がする。





「ふふふ、ははははは!……っく、お見通し、なのかよ……うああぁぁぁ……」





泣き笑いになってしまった。
アーサーが頭を撫でてくれる。





……そういえば、ちゃんと笑ったのも、泣いたのも、子供の時ぶりかもしれない。





豪勢な食卓をみんなで囲んだ。
美味しくて、楽しくて、でもやっぱり辛くて。
ずっと、忙しい感情と戦っていた。

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ユキぴょん(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます〜m(*_ _)m これからも頑張ります! (2020年8月25日 22時) (レス) id: eec7be5830 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 面白いです!更新頑張ってください! (2020年8月25日 15時) (レス) id: 32b6d86f2d (このIDを非表示/違反報告)
ユキぴょん(プロフ) - こっちんさん» ありがとうございます〜感想いただけて、とても励みになっております!いつもありがとうございます(o^―^o) (2020年8月23日 11時) (レス) id: b7d7ffea7c (このIDを非表示/違反報告)
こっちん - 弐章の話に入りました!初めて夢主が消防官として現場に出た話がすごく面白かったです!!次回の更新も楽しみにしています!! (2020年8月23日 10時) (レス) id: e1802d5515 (このIDを非表示/違反報告)
ユキぴょん(プロフ) - あおりさん» ありがとうございます〜これからも少しづつ更新していきますので今後ともよろしくお願いしますm(*_ _)m (2020年8月20日 17時) (レス) id: eec7be5830 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麻利亜 | 作成日時:2020年8月18日 14時

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