影ノ守り人 参 【炎炎ノ消防隊】

玖拾参 ページ6

許されないことをしたはずなのに。






｢私……まだ、第8に居ていいのか？｣





｢居ないと困る｣





｢いつ暴発するか分からないのに｣





｢その時は、俺が止めてやる｣




……はは、もう言い訳も思いつかないや。





｢……だから、A。どこかになんて、行かないでくれ｣






｢……ッ、うん……｣





ずっと抑えていた涙が、溢れてきた。





アーサーは黙って、頭をぽんぽんしてくれた。





……酷く、心地が良かった。




初めて第8に来た時から、本当コイツには泣かされてばかりだ。






頬を伝う涙を必死に拭っても拭っても拭いきれなくて、困る。





そうしたら、アーサーに涙を舐められた。






｢ひゃッ！？ちょ、お前、何して、｣





｢泣き止んだな？｣





ニヤリと笑う。





｢いや、泣き止んだけど！ビックリしただけで！！ていうか、こういうのは恋人同士がやるものでは、｣





｢……？恋人みたいなもんだろう｣





｢いやいやいやいやちょっと待てなんでそうなっている｣





もう訳が分からん。泣かされて今度はなんなんだよ。





｢だって姫、俺の事好きだろう？｣





｢なんで突然そうなった自惚れが過ぎんか大丈夫かバカ騎士｣





｢早口言葉か？｣





いつ好きって言ったよ。





てかいつ好きになったよ。





｢マキが言っていたぞ、お前は俺が倒れたからあそこまで怒ったのだと。相思相愛っていいな〜だそうだ｣





｢……えぇっと、話が見えないのだが｣





｢俺が倒れたことに激怒して能力が暴発したんだろう？ならば感情の制御が出来んほど俺のことが好きということだ！｣





……えっと、頭、おめでたいのか？





あ、いや今更だ。

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