影ノ守り人 参 【炎炎ノ消防隊】

玖拾壱 ページ4

起きてから、数日。




アーサーが目覚めたらしい。




心から安堵した。





ギリギリ急所は外していたらしく、問題はないらしい。





アーサーが目覚めるまでの数日、リヒトと話したりしていた。





その度、炎を出すことを求められ、色んな人に連れ帰られていた。




かく言う私ももう歩ける程度には回復していて、別に部屋の外に出てもいいのだが。





……なんだか、そんな気にはなれなかった。




アーサー君を見に行かないんですか、と問われた。





……そんな資格、私には無いよ。





彼の姫ではいられなかった。




｢……アーサーに、合わせる顔がないんだ｣





｢……そう言うなら、無理強いはしないけど。後悔しないでよ？｣





｢……うん｣





コイツには、出ていこうとしているのがバレているのかもしれない。





……これでいい。





……これで、いいんだ。






ーーーーー





さらに数日。





前と同じくらい、動けるようになった。





……そろそろ、潮時かなぁ。





いい所だった。





楽しかった。




だから、最後は笑顔で出て行きたいなぁ。





みんなに会ったら、きっと泣いてしまう。





会わないように、そっと帰ろう。





｢……ありがとう｣





よし、行こう。






そう思って、立ち上がった時、





扉が開いた。





｢……ッ、アーサー｣





どうして、来てしまったんだ。






｢姫！オリハルコンを探しに行くぞ！｣





ウキウキの笑顔で、そう言われる。






……はぁ？

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