影ノ守り人 参 【炎炎ノ消防隊】

捌拾玖 ページ2

｢前も言った通り、だと思う、けど｣







｢もう少し詳しく聞きたい。地下に連れて行かれてからのこと、全部｣






2歳で地下に連れていかれた。





能力は、あまり使えなかった。





だから、能力無しでの戦闘訓練を特にしていた……と思う。






そして14の時、






能力の使用訓練をしていた。




上手く使えないことにイライラしていたのだろうか。





相手に、すごく詰られたのを覚えている。





努力しているのに。





……こんなに、頑張っているのに。





否定されたことが、悔しかった。






その時、多分ーー意識がなかったから、昨日と同じように、能力が暴発して。






それでただでさえ薄暗い地下の、さらに暗い牢に入れられた。






前を通る人々の罵声。






｢……あれ？｣





初め、能力が上手く使えなかったからと、落ちこぼれと呼ばれていただろうか？






……呼ばれて、いない。






｢……落ちこぼれと呼ばれ始めたのは、牢に入ってから……？｣





｢ハウメアの言ってたことと合わせても、その可能性は高いね……能力の使用に対する枷なんだから、能力がわかってからである可能性は高い｣






私が、覚えていたのと、違う。






タマキと話していた時の記憶と、違う。







筋道立てて話していたことで思い出されたこと……なのか。






……自分の思っている記憶と、事実と違う時がある。





そういう時は、案外最初から順序だてて思い出していけば事実と合致していくのかもしれない。







あぁそれで、牢に入った後どうしていたんだっけ。






鎖に繋がれて、やることも無くて。






浴びた罵声に、心が縮こまっていく。







辛い。もう嫌だ。






誰か、助けてーーー。






そう願った時、手を差し伸べてくれたのが、団長だった。

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