【明治東亰恋伽】孤独姫は泡沫に…【菱田春草】 (ページ30)

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29話ー砕け散るーページ30

実は、ここだけの話しなのだが、もしかしたら……。
本当は気づきたくなかった、もしかして菱田さんのこと、私は人として好きなのかもしれない。

『只今帰りました。』

誰もいないのかな？
下駄を脱ぎあがると、話し声が聴こえた。
扉の隙間から、見ると芽衣ちゃんと菱田さんが話していた。

芽衣「春草さん、今週末誕生日ですよね?」

春草「そうだけど。」

芽衣「祝いますね!」

春草「あ、ありがとう…。」

彼が微かに笑っていた。
少し、頬が赤い……。

菱田さんの、好きな人って……。
そう思うと、私は泣きそうなぐらい辛かった。
やっぱり、私……、菱田さんのこと好きなんだ。

初めての恋、そして一瞬にして砕け散った。
すると、あの三毛猫がやって来た。
ちなみに名前を考えた。
三毛丸だ。単純すぎる名前だが、気にってる。

三毛丸は、何か心配してるかの用に、私を見つめた。

『大丈夫だよ。部屋に戻ろうか!』

そういって、階段を上がっていった。
けれど、立ち止まって、芽衣ちゃんがいた部屋へ向かい、入った。

『芽衣ちゃん、あんぱん置いとくね。』

芽衣「!!ありがとう…!!!」

『？』

何か二人驚いている様子だったけれども、私は別に気にしなかった。