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「いただきます」
勝利のお母さんが作るご飯は豪華だったけど
やっぱりなんだか母親の味って感じがして。
地元に1度も帰ってなかった私はお味噌汁を飲んだ時
少し泣いてしまった。
「っｸﾞｽｯ…すみません、あまりに美味しくって…」
「A、泣いてるの？」
「あらやだ、どうしちゃったの！」
「すみません…東京出てきてから1度もお母さんに会ってなくて、
手料理が恋しくなっちゃって…
いいですね、母親の味って」
すみませんと付け加えて笑った。
「Aちゃん、いつでもおいでね」
「そうそう、勝利いないときでもさ！」
「姉ちゃんそれはおかしいだろ！！( 笑 )」
「あははっ、ありがとうございます」
勝利くんの家は思ってた以上に温かかった。
「俺の部屋行こ〜」
食卓の片付けを手伝ってると勝利が手を引っ張ってきた。
子供かよ←
「お義母さん、ほんとにごちそうさまでした」
さっきこそっとお義母さんって呼んでねと言われてたことは
勝利は知らない。
「なに？お義母さんって呼んでんの？？」
「そうよーあんたよりも仲良くなっちゃった」
「聞いてないし！！」
ほら早く行くよと私の手を引く。
バタンと勝利の部屋のドアを閉める。
勝利の部屋は生活感なくて、
まあ住んでないから当たり前か。
ギターが何本かあって、ベッドと机。って感じだった。
「そういや、Aもギター弾けるでしょ？」
そう言えば私も役でしてからギター弾くようになったんだよなあ。
「うん、少しだけね」
「弾いてみてよ」
勝利にギターを渡されて言われるがままに弾いた。
勝利に聞かせたかった歌がある。
私が歌い始めると勝利は目を閉じた。
勝利に届いてほしい
今なら届くはず、そう思って歌詞を一つ一つ歌った。
私の世界に入ってくるみたいに一緒に呼吸した。
「おしまい…」
勝利は目を開けた。
「どうかな？」
勝利は何も言わずに私を抱きしめた。
「Aによく似合ってる。俺には伝わったよ」
そして勝利は私をそっと離して言った。
「キスしていい？」
「うん。いいよ」
だんだんと勝利が近づく。
今っていうタイミングでくちびるが重なる。
すべて分かり合えるような気がした。
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作者名：花音 | 作成日時：2017年5月21日 0時
