こちらアイラ探偵事務所です。file2 (ページ27)

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第75話【東條夏津】ページ27

時間は切り替わり遊園地、お昼間。みんなで頭を使いながら遊園地で遊んでいる、そんな時。

うーん、多分入ってたのは水素だ。水素を燃やせば淡い青色の炎を上げて酸素と化合して水を生ずるし。

だったら、スタッフの中に犯人がいる可能性が高い。風船に水素を入れるなんて、怪しまれずに出来るのはスタッフぐらいだから。

それに、水素は酸化物の還元に使って酸素と共に噴出燃焼させて金属板の切断や溶接に使う。

いや、待て、夏津。あるじゃないか、酸素と混ざったら燃える、風船に入れても浮く気体。

アセチレンが。

「ねえ、ねおくん。水素も酸素と混ざったら爆発するし風船に入れても浮くけど、アセチレンだって水素とおんなじやで。風船に入れたら浮くし酸素と混ざったら燃える」

「え？」

違うかもしれない。けど、本当にこれが合っていたら犯人はスタッフだ。そして、連発しているのならアセチレンか水素は、犯人の家かこの遊園地の倉庫……。

でも……。

私には、みんなに伝えないといけないことがあるから。

「みんな！！！」

嫌われちゃうかな。そんなの見たくないから、言ったら逃げよう。

「私は……夏津は……」

苦しい。逃げた先、雨降らなきゃいいな。あいにく今日は曇ってるし、雨の予報だし。

「みんなも知っているであろう……」

そういえば通り魔があるとか言ってたな。遭遇したらどうしよう。

「子役の……東野夏樹ですッ！！」

＿＿＿＿言ってしまった。

みんなに背を向けて、逃げる。もしかしたら水素じゃなくて、アセチレンかもよ。そう残して。

みんなの呆然とした顔を見たくなくて。