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まだまだ整理なんてできていない、そんな気持ちが痛いほど伝わってきて…
櫻井も松本も言葉にならなかった。
「手帳の写真は…元気だった頃の写真でもいいのかな…？」
申請に必要な写真は1年以内に撮影されたものとされていた。
雅紀の病気が分かってからまだ1年は経っていない。
その質問に智の葛藤が詰まっていた。
「うん、大丈夫だよ。雅紀らしい写真を選ぼう」
櫻井は目を赤くして、智の肩を強く抱き寄せた。
智は櫻井の肩に顔を押し当てて泣いた。
駆け寄って智の背中を摩る松本の頬も濡れていた。
「最高にかっこいい手帳にしようぜ」
松本の言葉に、智は何度も何度も頷いた。
「ん？まーちゃん？」
早朝、ベッド柵を叩く小さな物音で智は目が覚めた。
急いでベッド横の電気をつけると、雅紀がぱっちりと目を開けていた。
「まーちゃん！おはよう！」
昨日と全然違って元気そうな瞳。
昨日3人で話した後、櫻井は利尿剤を外し水分補給の為の点滴をセットした。
薬が効いてよく眠れた上に、水分が補給されたことで身体がラクになった雅紀は早く目を覚ましたのだった。
『ぁお…お…ぁよー…』
心なしか口の動きも良くなったように思った。
智は急いで身支度を整えると、雅紀を抱き起こした。
久しぶりに身体が楽になった雅紀はにこにこで。
その笑顔を見たら、色んなモヤモヤした気持ちも奥に引っ込んだ。
『わ…ちゃ……おん……む』
「そうだね。続きからワンちゃんの本読もうね」
これは雅紀が1番お気に入りの本だった。
読み聞かせをしながら、こまめに雅紀の顔を見て変化がないか確かめる。
雅紀の頭の中にはどんな世界が描かれてるのかな…
目の前の絵本とは違う雅紀が描いた世界を覗いてみたかった。
雅紀が手を動かす音が聞こえてきた。
「んふふっ。終わりにするね、まーちゃん」
脳の後遺症で集中力を保てない雅紀は飽きると手足を動かした。
『ぁこー！』
求められるがままに雅紀を抱っこする。
最初は抱っこにリラックス効果があって筋緊張を和らげるのに有効って言われてもピンと来なかったけれど、最近は抱っこをしていると右半身が麻痺しているせいで右側に傾きがちの頭がほんの少しだけ正面を向くことが分かった。
右半身の緊張が和らいでいる証だった。
緑に囲まれた自然豊かなこの場所の朝は静かで、時折鳥のさえずりが聞こえてきた。
『ぉあ…よー！』
「ふふっ。鳥たちにも挨拶しなきゃね」
智の言葉に、雅紀はにこっと笑った。
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いずみ(プロフ) - りささん» コメントありがとうございます。リクエストもありがとうございます。お話の流れの中で取り入れていこうと思います。もうしばらくお待ちください！ (2021年2月6日 18時) (
レス) id: 3797474e34 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 初コメです！ニノが智くんにすごく甘えるシーンをもっと見てみたいです！まーくんが何かあった時は甘えないとか！突然のリクエストごめんなさい (2021年2月3日 3時) (レス) id: da570d1084 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - あのひさん» 新しい仲間がまた出てきちゃいました！今後、また横山さんも出てくるかもしれないです。またよろしくお願いします！ (2021年1月29日 7時) (レス) id: 3797474e34 (このIDを非表示/違反報告)
あのひ(プロフ) - まーくんのおかげで、また新しい仲間が増えましたね！横山くんも元気かな〜？ (2021年1月25日 22時) (レス) id: 2bf0d880c6 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - りんさん» 初コメありがとうございます！そんな風に言って頂けてとても嬉しいです。先程更新させて頂きましたので、そちらもよろしくお願い致します。 (2021年1月21日 23時) (レス) id: 3797474e34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いずみ | 作成日時：2020年11月28日 0時
