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「雅紀、この点滴すると、血がサラサラになって肺に溜まりやすくなっちゃうから、一度溜まったの抜いてもいいか？」
雅紀は何も言わずに服を脱ぎ、智は雅紀の右腕を持ち上げて自分の左肩に置き、下から抱えるように雅紀の体を支えた。
「翔ちゃん…」
「ん？」
「麻酔、赤ちゃんの針で…やって…おねがい…」
酷い内出血の部分に針を刺して麻酔をしなければならず、普通の注射針が刺さると飛び上がるほど雅紀が痛がった。
でも、肺に麻酔をせずにこの処置はできない。
そこで、前回櫻井が乳児用の針で時間をかけて麻酔をしたところ、幾らか痛みが軽減されたのだ。
「うん。そうしような。ちゃんと赤ちゃんの針持ってきたからな」
それでも最初の麻酔は激痛だった。
「んあっ！……くっ……っ…」
雅紀の左手が強く智の服を掴む。
痛みに耐える雅紀の体を、智は優しくさすった。
麻酔が効いてくると、痛みが軽減され、雅紀も楽になった。
また太い針が刺され、血液が抜かれていく。
「………」
脳にはうまく流れず、肺にはたまる…
抜き出された雅紀を苦しめるそれが、智は憎らしくてしょうがなかった。
今日は注射の半分ほどの量を抜いた。
「終わったよ〜」
緊張し、力んでいた雅紀が、ふっと力を抜いた。
圧迫して、止血し、ガーゼをあてる。
最近は頻繁に穿刺をするため、テープかぶれが起きているから、ガーゼを包帯で固定した。
そして、脳虚血の治療のための抗凝固薬を点滴する。
「まーちゃん、俺ベッドメイキングしてくるね」
智は雅紀をソファに寄りかからせ、雅紀の部屋に向かった。
留置針の交換時期だった為、櫻井は雅紀の右腕に新たに点滴留置針を刺した。
「痛くない？大丈夫？」
「うん……あっ……」
針を留置させるために固定していると、また、脳梗塞の症状が現れ、雅紀は座っていられず、横にずるずると倒れた。
「雅紀、大丈夫だ。今、薬繋げるからな〜」
「あう…あ……」
櫻井は血栓を溶解するため、抗凝固薬の点滴をつなげ、雅紀を寝かせた。
「まーさーき、大丈夫だ。気持ち悪いな〜」
ベッドを整えていた智も異変を感じ、リビングにきた。
「発作」
櫻井が声を出さずに伝える。
智はタオルを掴み、雅紀の頭の下にそれを敷いて、手を握った。
「まーちゃん、薬入ってもうすぐ効くからね。大丈夫だよ」
顔の右側にも麻痺が出ていた。
「あーあ…あ…あう……うあー…」
「まーちゃん、そばにいるからね」
智は雅紀の手を握った。
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いずみ(プロフ) - ちょんさん» コメントありがとうございます！あの5人を見ていると優しさに溢れていて、お話を書いてても優しい気持ちになるんですよね。これからもよろしくお願いします！ (2020年5月20日 1時) (
レス) id: 3797474e34 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - るんるんさん» コメントありがとうございます！今後もしばらく続きそうなので、これからもよろしくお願いします！ (2020年5月20日 1時) (レス) id: 3797474e34 (このIDを非表示/違反報告)
ちょん(プロフ) - いつも更新ありがとうございます！毎日お疲れ様です！4人それぞれの優しさを感じられるこの作品が大好きです。今後、ニノがどのように交わっていくのかも楽しみにしています！ (2020年5月19日 1時) (レス) id: 0eb4c418ab (このIDを非表示/違反報告)
るんるん(プロフ) - 鼻の奥がツンとして涙が出そうになりました…！全員の愛が溢れてる作品で、大好きです。今後の展開がすごく楽しみです！ (2020年5月19日 0時) (レス) id: 5f4c3622e1 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - あのひさん» いえいえ！お気になさらず！コメントありがとうございます。雅紀くん、頑張って3人とお弁当食べました。これからもよろしくお願いします！ (2020年5月18日 0時) (レス) id: 3797474e34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いずみ | 作成日時：2020年5月4日 1時
