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「まーちゃん！お願い…目を開けて…お願い…まーちゃん…」
咳込む度に、吐き出される少量の血を智が泣きながら拭っていた。
ソファテーブルには血のついたティッシュが何枚も無造作に置かれ、タオルも転がっていた。
気道を確保し、酸素カニューレをあて、とりあえず止血剤の点滴をした。
「大野さん、びっくりしたよね。でもしっかり対応できてたよ。大丈夫」
櫻井が治療中、松本は涙が止まらない智に声を掛けていた。
「ん…ありがとう…ほんとに」
智の手には雅紀のものと思われる血が至る所に付着しており、その手はブルブルと震えていた。床にも血が落ちていた。智の服にも飛んでいた。
「大野さん、着替えないと」
智はそう言われて初めて服に血がついていることに気付いた。
服を脱ぐと、脱いだその服をぎゅっと抱きしめた。
「まーちゃん…どうしちゃったの…何が起きてるの…」
松本は智をそっと抱きしめた。
「まーを信じよう」
そう声を掛けながら、濡らしたタオルで智の手を拭いた。
「うん。俺、顔洗ってくる」
洗面所から帰ってきた智の目は赤かったが、雅紀が大好きないつもの智だった。
「智くん、雅紀、病院に連れてくね。今日は入院してもらって、明日この間言った検査するね」
「分かった。後で俺も行く」
「うん。智くんも来て？俺らも今日は病院に泊まるね」
櫻井クリニックは、一部屋だけ入院部屋がある。それは、余りにも頻繁にクリニックに来る雅紀の為に櫻井の父親が設けたもので、ほとんど雅紀専用の部屋だ。
「雅紀〜、移動するぞ〜」
櫻井と松本で、雅紀を抱えて車に運び入れた。
病院に到着し、急いで酸素マスクをつける。
「酸素最大で」
「了解」
止血剤のおかげで喀血そのものは止まった。
気道を広げる薬を打ち、酸素マスクを当て続けると、バルスオキシメーターの数値も上がった。
酸素マスクを一度外し、血のついた顔と手を拭く。
「リップもね」
唇が乾燥すると痛がるから、松本が雅紀の唇にリップクリームを塗った。
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いずみ(プロフ) - るんるんさん» 初コメントめちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます！楽しみにして頂けて幸せです。これからもよろしくお願いします。 (2020年4月13日 16時) (
レス) id: 3797474e34 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん(プロフ) - この後どうなるんだろ…って毎日ドキドキしてます！これからも応援してます！ (2020年4月13日 11時) (レス) id: 5f4c3622e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いずみ | 作成日時：2020年4月4日 1時
