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「しょ…くん…これ…」
大野が震える手で差し出したのは、雅紀が吐き出した血痰が包まれたティッシュだった。
櫻井は智の手を包みながらそれを受け取った。
「びっくりしたよね。大丈夫。血痰が出ても今すぐどうにかなるわけじゃないから。ゆっくり、雅紀寝かせてくれる？」
松本が雅紀を支えながら横にならせた。
動揺している智が気になるが、櫻井と松本は雅紀の治療に集中した。
「SpO2、90切ってる」
「了解、潤、カニューレあてて。注射頂戴。あと吸引して」
肩に気管支拡張剤を打ちながら、吸引をする。
吸引は苦しいもので雅紀も大嫌いだから、意識がないうちに終わらせたかった。
ゼロゼロと痰が吸われていく。
意識はないが、それでも雅紀の目から涙が流れた。
「まーちゃん、頑張れ頑張れ」
落ち着きを取り戻した智が、その涙をタオルで拭った。
「SpO2、94だよ」
しばらくすると血中酸素濃度が上がってきた。
「オッケー。雅紀、頑張ったな。もう大丈夫だ。智くんもお疲れ様」
「ありがとう。ホント、心臓止まるかと思った。血…」
智は再度血痰を思い出したのか、手が震えていた。
「うんうん。びっくりするよね。でも、もう大丈夫だよ」
血痰はそこまで重症ではない為、医者にとっては驚くものではないが、素人が見れば驚くのも無理はない。
「ハハッ。なんか力抜けちゃった…」
智はへなへなと床に座り込んでしまった。
「雅紀が自分から、吸入するって言ったの。それで一応と思って、電話して…」
「智くんが早く電話くれて良かったよ。俺たちも早く来れたし」
櫻井が智の背中をさすると、智は頬をパンと叩いて、立ち上がった。
「ご飯、作るね。2人も食べてく？」
「やったっ！大野さんのオムライス食べたいな〜」
松本がそう言うと、智は「ふふ、松潤、好きだね〜」と笑い、雅紀の手を握って、部屋を出た。
「ゴホッゴホッ…」
夕食を食べ終えて、3人で話していると、雅紀の重たい咳が聞こえてきた。
また軽く発作が起きてしまった。
「雅紀〜、ネプライザーやろうか〜」
少し目を開けた雅紀の口元で薬を噴霧する。
その間にもその咳が出る。
「ゲホッ…ゴホゴホっ…っ…」
雅紀は疲れ切っていた。
「まー、鼻つまむよ」
松本が早く薬を胸に届けために鼻呼吸を塞いだ。
「届け〜」って雅紀の胸を優しく撫でながら、智が笑いかけてくるから、櫻井も笑顔を返した。
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いずみ(プロフ) - るんるんさん» 初コメントめちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます！楽しみにして頂けて幸せです。これからもよろしくお願いします。 (2020年4月13日 16時) (
レス) id: 3797474e34 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん(プロフ) - この後どうなるんだろ…って毎日ドキドキしてます！これからも応援してます！ (2020年4月13日 11時) (レス) id: 5f4c3622e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いずみ | 作成日時：2020年4月4日 1時
