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言葉を失ってしまった。本当だろうか。何か犯罪でも犯して、本名は名乗れないとか。なぜ、無戸籍なんだ？なぜ？なぜ？
「ごめん、名前と年齢を聞いてもいいかな？」
「名前は申し上げられません、年齢は22歳です」
「どうして名前を言えないの？名前を言ってもらわないと」
「ごめんなさい。どうしても名前は申し上げられないんです。ごめんなさい。お金は必ずお支払いしますから、どうかお許しください」
泣きながら懇願する彼女に対して、疑念は晴れなかったが、これ以上質問することが出来なかった。
「分かりました。でも、退院の前に全身の検査だけさせて下さい」
「大丈夫です。何か病気が見つかっても、私、病院に来てはいけない人間ですから。見つかっても、ね、どうしようもできませんから」
そう呟く彼女の瞳は真っ暗だった。何も映していないように見えた。
言葉が出ない。こんな患者さんは初めてだった。
でも、ここで検査をせずに帰すことは、目の前の彼女を、彼女の命を見捨てることになる気がした。
「いくらですか。今、退院したら、いくらかかりますか」
彼女はしきりにそのことを聞いてきた。
「先生、僕、事務に聞いてみます」
相葉ちゃんが聞きに行ってくれた。
部屋で彼女と2人きりになった。
なぜ、無戸籍なんだ？名前は何だ？
それらばかり気になるが、彼女にそれらを聞いてはいけないように思った。他にも気になることはたくさんあったが、聞けなかった。どう聞いたらいいか分からなかった。
しばらく、沈黙の時間が流れ、先に口を開いたのは彼女だった。
「先生は、何もお尋ねにならないんですね」
彼女は小さくそう言った。
まだ22歳のわりに、彼女の話し方ははとても落ち着いていて大人びていた。
もっとも、本当に22歳かは不明だが。
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いずみ(プロフ) - meiさん» 初コメント下さり、ありがとうございます！嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！ (2020年2月7日 16時) (
レス) id: 9c1572c021 (このIDを非表示/違反報告)
mei(プロフ) - 感想書かせていただきます！！ほんとに心が暖かくなる作品だなーと思います！！これから主人公がどうなるのかなーとワクワクしながら更新待っています！楽しみです！頑張ってください！！ (2020年2月7日 14時) (レス) id: fd406e97dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いずみ | 作成日時：2020年1月24日 14時
