嘘の嘘のそのまた先 (ページ10)

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あの日。あの時。ページ10

高校1年冬休み。

樹とは幼なじみだった。幼稚園、小学校中学年くらいまでは毎日のようにいた。

だけど高学年くらいからお互いに思春期であんまり関わっていなかった。

けれども高校がたまたま同じになってまた、少しずつ話すようになった。
その時の樹は、一人の彼女とずっと付き合っていた。多分、今までで一番長い彼女。

そんな12/24。
樹がその時付き合っていた彼女と別れた。

『俺の家来て』

樹から連絡が来た。

樹の家は小さい頃よく行ってたし、少し私も好奇心で行くことにした。

でもドアを開けたときの、樹の表情はなんだか違った。

樹は無言で私の手を引っ張り、抱き締めた。
優しくなかった。なんだか強引で、締め付けられるようだった。

「痛いよ。樹。」

そんな私の声は全く届かず、そのまま強引に手を引かれた。

そして、樹の部屋に連れていかれた。

-ガチャ

目が合う。けど何も言わない。

｢うわっ｣

そのまま、私はお姫様抱っこをされ

-ドスン

ベッドの上に投げ飛ばされた。

樹の目を見るともう何も言えない。

そこからは速かった。
気付いたら、私は身動き出来なかった。

そして、唇と唇が重なる。
初めてだったのに。
とか考えられない。

次から次へと止まらない。

私はされるがまま。

けど、彼の手が私の制服のボタンに振れたところで時が止まった。

目が合う。

『ごめん』

言葉にはしていないけれど、そう言っているかのように聞こえた。

このことは、私と樹以外の誰も知らない。
二人の間でもなかったことになっている。

でも、この日から私たちの今のような関係性が始まったのは確か。

そして、樹の女癖が激しくなったのも
このときから。