愛の監獄 【ヤンデレ】【太宰治】

真実 ３７ ページ37

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それからそんなに時間はかからなかった





そうして君は、私のためにここへ来てくれた。









また、あの日の夜のように



私を攫いに来た





『太宰、さん……っ！！！』





掠れた声で君の名前を呼んだら、君は嬉しそうに笑って





「遅くなってしまって、ごめんね



帰ろうか」





君はそうして、私に手を差し伸べた



冷たくて硬い君の手に触れたら、君は私を優しく抱き締めた





君の、大きくて暖かい背中に腕を回したらどうにも堪えきれなくて、涙を流した





君の香りが私の鼻を突き抜ける度に、君の元へ行きたくなる



本当は、行ってはいけなかったのに





『太宰さん…太宰さん、太宰さん…！！』





「ごめん



ごめんね…





もう離さないから…」





君の口から私を束縛する言葉が聞けて心の底から嬉しかった





『帰りたい…です…！！連れて行って…！！！』





「…うん



帰ろうか」





・





どうして



Aは、俺の、妻だろう





どうして、青鯖なんかの所へ行くんだよ





『なァ……A……』





青鯖がここへ来る事は知っていた



どうせ奴の事だ、俺がいないとわかった今日この時間に必ず来ると、思った通りだった





「ちゅ…や……何で………！！」





Aは青鯖の腕を掴み、俺から隠れようとする





そんな目で



俺を見るなよ





「ふふ



やっぱり、思い通りだ」





この場を楽しんでいるような、青鯖の笑顔



思った通りか、そうか





ああ



辛ェよ





なんで、こんな





『なァ………何でだよ……………！！』





どうして、そうやって青鯖は



俺から全てを奪っていくんだ





どうして、そうやってAは



俺を一人にするんだ





「Aちゃんが中也から離れる理由なんて



中也が一番、わかっていると思うのだけれど？」





そうだ、太宰の言う通りだ



俺はわかっている、Aが離れて行く理由を





「中也、君は





婚約する前からずっと









Aちゃんに、暴力を、振るっていたのだろう？」

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