【明治東亰恋伽】君が笑うから2【菱田春草】

50話 ページ9

貴方「あ、鏡花さん。」

鏡花「こんな所で何してるの。」

貴方「いゃ、別に何も。」

鏡花「あっそ。」


何故だろう。話しが続かない。
すると、鏡花さんが、『危ないから、送ってあげようか。』と言ってきた。


貴方「え、でも迷惑でしょうし、良いですよ。」

鏡花「そう？」

貴方「それでは。」

鏡花「そっちじゃないでしょ、鴎外さん家。」

貴方「え?」


まだ馴れない明治の街。また迷うといけないので、『やっぱり、お願いします……』と言って、送ってもらった。
着くとき、『ありがとうございます。私だと、何もお礼出来ませんが……』と言った。


鏡花「出来るんじゃない。」

貴方「え?」

鏡花「じゃあ、明日。僕とデエトしよ……。」


え？デート?え、鏡花さんと＿＿?!
でも、それで恩が返せるなら楽だ。


貴方「分かりました。鏡花さんがそれでいいなら。」

鏡花「本当?」

貴方「はい。」

鏡花「じゃあ、明日迎えに来るから。」

貴方「待ってます。」


私は、笑い返した。
デートか……。初め……て……?
いゃ、初めてじゃない気がする。
もっと、大切な＿＿。


＿＿それ以上探るな。

貴方「え。」


レテの一言で一旦とまった。
ともかく、私は屋敷の中へ入った。
フミさんしかいない中、私は明日の事を考え続ける。
楽しみなのか、不安なのか、よくわからない気持ちでいっぱいになった。

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