【明治東亰恋伽】君が笑うから2【菱田春草】

60話 ページ19

あれ、ここ何処だ。
私、さっきまで藤田さんの家にいたような……。
何してたんだろう。


貴方「ん？」


私は後ろの月を眺めた。いつもと変わらぬ輝き続ける月。
ただ、少し違和感をいだいたが、別に気にしないで帰っていった。



貴方「只今戻りました。」

春草「おかえりー。」

貴方「春草さん…。酔ってます?」

鴎外「お…Aかー……。」

貴方「ずいぶん飲んだご様子で……。」

鴎外「私は、寝る。」


そういって、鴎外さんは行ってしまった。
それだけか、言うことは……。


春草「やっと、二人になれた。」

貴方「え、演技だったんですか。」

春草「うん。」

貴方「何で騙したり……。」

春草「君さ、過去に何があったの。」

貴方「……、分からないんです。思い出すと、怖くて、震えてる、怯えてるんです。」


すると、春草さんは私を抱いた。
春草さんは、こう言った。


春草「大丈夫、僕がついてるから。」

貴方「はい…。」





貴方「うがっ!……、何だ夢か。」


何の夢を見ていたんだ。うーん、何と言うか思い出せそうなんだけど、最後の……。


貴方「うぅ………ぐっ………。」


考えれば、逆に苦しめられる。大体は思い出せた。
けど、大事な人の名前が出てこないの!!
全て思い出した、鹿鳴館が焼けたこと、母が亡くなったこと…!!
でも……。


貴方「ああぁーーーー!!!!」


私の声が響きわたる。夜なのに。

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