MargueriteBoy♭-第14章-

何も。 ページ30

いつもだったらこんなことの後は会うことすら嫌で嫌で仕方なくて
胸が苦しくて苦しくて仕方ないのに今日は朝からやけに落ち着いてた

不思議なくらい穏やかな気持ちで、
事務所へ足を踏み入れても尚、動揺なんてしなかったから笑顔で過ごせそう



そう思ってた



.



.



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何をするのかはっきりとはわからなくても嫌な予感はしてた。
用意された服、案内される先にある部屋は行ったことがあったから。


以前も来たことがあるレッスン室

最もしたくなかった仕事をすることになった



……年末の祭典で、２人で踊る…？



「…本当に無理だと思う。」


ここは笑って答えないと視聴者への心象はよくない、そうわかってるけど嫌すぎて笑えなかった

「笑 仕方ないだろ、正式なオファーなんだから。」

言い返せない正当な返しをされれば更に嫌悪感が募って。



ほら、早く。見ないとわかんないから。
適当でいいから、そう急かされて背中を押されてレッスン室の真ん中に立たされた。



適当でいいから…？

適当に“踊れる”なら最初からそうしてる


学校の授業でもダンスなんてなくて
レッスンでもダンスなんてしたことのない私が“適当に”でもダンスを踊れるわけなくて



「…教えてくれないの？」


…問うてみたら



「だから踊ってみてって。笑」


………。



クスクスと笑う目の前の男は私が踊れないことは知っているのに
助けるどころか笑いものにさせたいらしい


ギロり、睨んでみるけど本当は大して怒りは湧いてなくて。

ＴＶ用のパフォーマンス。





ー…昨日の仕返しかな。




そう冷静に観察すらしてる。




昨日。


私は多分ダメそうな食品と一緒に何かを、ゴミ箱に捨てたのかもしれない…ああ。



穏やかなんかじゃない



何も感じなかったんだ。







……何も。

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