幸せですかと尋ねられたら [冨岡義勇] (ページ28)

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冨岡義勇side

任務地が近かったこともあり、すぐ鬼を倒して家に戻った

Aに桜の看病を任せては悪い

家に着いて扉に手をかける前に扉が開いた

Aが俯いて立っていた

冨｢A？どこ行くんだ？｣

『どこだっていいでしょ』

驚いた

Aにそんなことを言われたことがなかったから

冨｢A？｣

熱でもあるのか

そう思っておでこを触ろうとしたら

『触らないで！！』

そう言って手を払われた

Aの声は震えていた

そして、

『お見合い、破棄してもらっていいですから』

俺が驚いて固まっているあいだにAは俺の横を通り過ぎて家から出ていった

冨｢待てっ…！！｣

ハッと我に返って追いかけようとするとスルリと腰に手が巻かれた

桜だった

桜｢義勇、あの子のこと追いかけるの？｣

冨｢あぁ、だから…｣

桜｢待って、また目眩が…｣

冨｢桜｣

桜｢なあに？｣

冨｢本当に病気なのか？｣

桜｢何言って…｣

冨｢お前は昔から病気じゃなかっただろう？｣

桜は黙った

黙ったあと高らかに笑った

桜｢なあんだ、気づいてたの？つまんなーい｣

冨｢いくら俺でも分かる｣

桜｢Aさんのこと好きなの？｣

冨｢…あぁ好きだ

初めてなんだ。こんな気持ちになったのは｣

桜｢Aさん、好きな人いるって｣

…石川のことか？

もしかして他に…不死川とかか？

いや、でも、

冨｢それでも、俺はAが好きだ｣

桜｢…なんか変わったね、義勇｣

冨｢そうか？｣

桜｢なら早く迎えにいきなよ｣

冨｢そうさせてもらう｣

俺は家を飛び出した

桜が遠くで、Aさんに嘘ついてごめんって言っといてー、と叫んでいた

なんのことだろう

桜｢義勇のばーか

幸せになりやがれ

義勇が幸せなら"俺"も幸せだ｣