幸せですかと尋ねられたら [冨岡義勇] (ページ35)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:86,918 hit

34 その後② ページ35

父｢…急に来たと思ったらなんだ、そんなことか

もちろん、いいとも

そもそもお見合いなのだからこっちは既に結婚を許していたはずなのだが…｣

冨｢あ…お見合いではなく、俺たちは…｣

『もういいわ、義勇さん

説明してもきっと分かってくれないし

お庭に行かない？とっても綺麗なのよ！』

娘に呆れられたと嘆く父、狼狽える冨岡の構図の完成である

そんな中、物怖じしないAは冨岡の手を引っ張って庭に来た

『綺麗でしょう？ずっと私が手入れしてきたのよ』

冨｢ああ…綺麗だな｣

梅｢梅は嬉しゅうございます｣

『ん？何が？』

冨岡が庭を見て回っている間にAと梅は縁側に座ってその様子を見ていた

梅｢あんなに元気がなかったお嬢様が笑顔を取り戻して…｣

『そうね、全部義勇さんのおかげだわ

でもね、時々思うの

私だけ幸せになっていいのかしらって

健さんは…』

Aは俯いた

梅｢…これは健さまから預かった文です｣

『！？そんなの聞いてないわ』

梅｢健さまが、もし自分が死んだら渡してくれ、と言われて預かっておりました｣

綺麗に折られた文の中を開けると、見慣れた健の字

"拝啓東雲A様

この手紙を読んでいるということはもう俺はこの世にいないんだね

君は今幸せなんだろうか

俺のことを想って自分の気持ちを押し殺したりしてないだろうか

俺はとても幸せだった

いつまでたっても甲の俺を励ましてくれたA

Aが横にいてくれるだけで、笑顔でいてくれるだけで本当に幸せだった

だから、天国から見える君の笑顔が曇っていたら俺はとても悲しい

俺のためにも、Aはどうか幸せになってくれ

俺の最期の願いだ

いつまでも君を愛している

敬具石川健"

『…』

梅｢きっと健さまも、今のお嬢様のお顔を見てお喜びになっていることでしょう｣

『梅』

梅｢はい｣

『私、幸せになるわ』

_____________だから、天国で見ていて