検索窓
今日:17 hit、昨日:3 hit、合計:74,940 hit

#29 ページ32

実弥side



玄弥と合流する前に花火が始まってしまった

背中から残念そうな声が聴こえる



実弥「(ふー…落ち着け俺ェ…)」



俺はというと

歩く度にふわふわと背中や腕に当たるその感触に心臓が限界を迎えていて

花火を鑑賞する余裕など少しもなかった


ひたすら別のことを考えてやりすごす



『……せい、不死川先生!』

不死川「うお、な、なんだァ」



呼ばれていたことに気がついて
背中のそいつの声に耳を傾ける



『あーと…この数日間、考えたんですけど』

実弥「?」

『ほら、不死川先生に変な顔するなって言われたときのこと
どういう感情だったのかなー、って』

実弥「あぁ…」



夜空が花火で鮮やかに彩られる

でかい音で聴こえにくいのはわかるが
正直そんな耳元で喋らないでほしい



『…私、たぶん寂しかったんです』

実弥「!」



あのあいつから
そんな言葉が出るなんて思わなくて耳を疑った



『扉を開けたらだいたい不死川先生がいて
いつも同じようなローテンションで"よォ"って言ってくれて…

あの部屋にいると時間の流れかたが違うんです

穏やかな気持ちになれる』




そいつが俺の肩にでこを乗せる

いや、面被ってるから面か?



『私、あの部屋好きです
安心するんです…すごく

…だから…もう来なくていいなんて
いわないでください』



花火の音やら人の歓声やらでうるせぇのに
こいつの寂しそうな声だけがはっきりと聴こえた



実弥「…別に、二度とくんなとは行ってねぇだろォ」

『!』

実弥「"手伝い"に来なくてもいいっていっただけだァ
来たいと思ったんなら来ればいい」

『……うん…』



俺がそう言うと安心したような声が聴こえて

そいつは力が抜けたように俺に寄りかかった



やっと公園についた数分後

真っ青な顔の玄弥と再会すると同時に
宇髄Aの手から縫いぐるみやら鞄やらが滑り落ちた

玄弥に確認してもらうと
驚くことにそいつは俺の背中でスヤスヤと爆睡していたのだった




結局その日はそこに宇髄を呼び出して
そのままそいつを背負って帰ってもらったが

そいつが背中から離れたあとも
しばらくあの温もりは離れてくれなかった

作者より→←#28



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (111 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
234人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

街角のドーナツ屋(プロフ) - まおさん» うわぁぁあほんとですね!?!ヽ(;゚;Д;゚;; )手書きでは書けるのに…何故…。すみません本当にありがとうございます(-∀-`; ) (2021年2月7日 7時) (レス) id: 282020a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
まお - 宇髄さんの漢字が最初から間違ってますので、直していただけると幸いです。 (2021年2月7日 6時) (レス) id: 29b9624abf (このIDを非表示/違反報告)
街角のドーナツ屋(プロフ) - まりさん» ご期待に応えられるようにがんばります!読んでくださってありがとうございます(T^T) (2021年1月26日 22時) (レス) id: 282020a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
街角のドーナツ屋(プロフ) - 3104 23さん» 嬉しいです〜!!そう言ってもらえると筆(?)が進みます!ありがとうございますがんばります!!!(*´▽`*) (2021年1月26日 22時) (レス) id: 282020a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
まり - 続き楽しみにしてます! (2021年1月26日 20時) (レス) id: ca5a6634ce (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:街角のドーナツ屋 | 作成日時:2021年1月20日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。