たぶん世界で稀な恋【不死川実弥】

#20 ページ23

NOside



『先生！！玄弥のテスト採点しましたか！？どうでした！？』

実弥「まだだァ
ていうかノックしろォ」

『あ、すみません』



期末テスト最終日

最後の教科を受け終わったAは
大急ぎで実弥のところにやってきた



実弥「てっきりてめぇの点数ききに来たと思ったんだがなぁ」

『あー、それも気になりますけど
玄弥の点数のが大事です！！
あんなに頑張ってたんだから上がっててほしいんですよ』

実弥「！、そうかよォ」



Aの言葉に
実弥が少し嬉しそうな顔をする



『あとたぶん私は一個か二個間違えてるんで。』



悔しそうにブツブツ言いながら
お湯を沸かすAの背中を見るのも
実弥にとっては久しぶりだった



『あれ…？え、ちょっと、先生！！
コーヒーないじゃん！！
言っといてくださいよ！』

実弥「あー…すまん」

『謝罪が適当！！！！』



ここ二週間静かだった数学準備室に
少しだけ賑やかさが訪れる


実弥は一人きりで本当に静かだったときよりも、時間が穏やかに進んでいるような気がした






ｻﾞｧ…



ふと、裏庭の緑樹が揺れる

風とともに夏の匂いが部屋に入ってきた



『んー…もうすっかり夏ですねぇ…』

実弥「…まぁ、明明後日から夏休みだからなァ」

『あ、そうか
楽しみだ…！』



Aにとっては高校生最初の夏だ

これから自分を待つ出来事に
Aは期待で胸を膨らませていた






____梅雨が明けて
暑い季節がやってくる









『あ、でも先生の腕が完治するまで夏休みでもここ入り浸りますからね』

実弥「はぁ！？」

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