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第4話(kr視点) ページ6

カコン、と鹿威しの音が響く和風庭園を、縁側に腰掛け眺める。
鹿威しの音が聞こえる度に、
九つの尻尾がふわりと揺れ動いた。
妖狐は何かを感じ取ったのか、耳をピンと立てる。
すると間もなく、和風庭園にドラゴニアの青年が降り立った。

「よう、きりやん」

そう言った彼は、闇のドラゴニアなだけあって、
全身はほとんどが黒いが、その黒い姿の中、
瞳だけが緑に輝いていた。

俺は、彼の強い魔力に顔をしかめる。
彼とは昔からの付き合いだが、
この膨大な魔力にだけは慣れなかった。

「なんだシャークんか。何の用?」

できるだけ平静を保って言葉を発すが、
やはり息苦しさは変わらない。

「いや、ちょっと顔を見に来ただけ」

「…そう」

普通に話すことが精一杯で、
だんだんと息が上がってくる。
息が荒くなっていく俺を心配して、
シャークんが俺の顔を覗き込む。
それが、一層俺を苦しめた。
ドクドクと、心臓が激しく脈打っているがわかる。
俺の変化に気づいたのか、彼はパッと俺から距離を取る。

「…きりやん。やっぱ俺、帰るわ」

彼は悲しげな表情で後ずさり、翼を広げる。
ごめん、と一言言って、彼が羽ばたこうとした時。

「_ッ待って!」

俺は苦しさを押し込めて、声を発した。

「…大丈夫だから、来い…こっちに」

この言葉を聞いた、彼の緑の瞳が揺れていた。
手招きすると、彼は困った表情で、
少しずつ近づいてくる。
強い魔力が近づいてくる感覚が、俺を酔わせる。
その魔力が目の前で止まった。

「…きりやん」

見上げると、そこには戸惑っている彼がいた。
俺は精一杯優しく笑うと、彼の首に手を回す。
魔力を宥めるように、優しく…。
息の荒さを隠すように、彼の肩に顔を埋めた。

彼も少し安心したのか、背中に手を回し、
俺を覆うように翼を曲げ込む。
俺の髪を撫でた彼は、うなじの辺りに口付た。

「…きりやん、なんで俺を選んでくれなかったの」

首に回していた俺の手を掴み、手の甲を見やる。
そこには、くっきりと赤い紋章が浮かび上がった。

「…ごめん、本当に…」

俺は、敵の大軍に襲われたときに、
どうしようもなく、隣にいたBroooockと誓約した。
彼と一体化したときのことはよく覚えていない。
恐らく、彼の魔力に取り込まれたのだろう。

「…いや、こちらこそごめん…
あの時、きりやんは間違った選択はしていないよ」

そう言って俺の手を握る彼の手は震えていた。

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しら(プロフ) - arisu(WT)さん» ありがとうございます(´;ω;`)励みになります...! (2019年2月3日 11時) (レス) id: 91f6d82092 (このIDを非表示/違反報告)
arisu(WT) - どうもアリスです!これめちゃくちゃ好こです!更新応援してます (2019年1月26日 9時) (レス) id: e4d3d4fa63 (このIDを非表示/違反報告)
しら(プロフ) - イワシ君さん» はじめまして!読んで頂きありがとうございます(´;ω;`)頑張ります!! (2018年12月27日 21時) (レス) id: 91f6d82092 (このIDを非表示/違反報告)
イワシ君(プロフ) - は、初めまして!とても楽しく読ませていただいています!もぉbroooock カッコよすぎです!応援してます!頑張ってください!! (2018年12月27日 19時) (レス) id: e9f141d671 (このIDを非表示/違反報告)
しら(プロフ) - 春雨さん» コメントありがとうございます!お褒めいただき嬉しい限りです(´;ω;`)これからも精一杯頑張ります…! (2018年12月11日 17時) (レス) id: 91f6d82092 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しら | 作成日時:2018年12月2日 12時

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