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第15話(Br視点) ページ17

ゆっくりと、重い瞼を開ける。

…どれくらい眠っていたのだろうか。
窓の外に目をやると、そこは真っ暗だった。
まだ寝足りない脳みそは、僕を眠りに誘う。
また、目を閉じてしまおうか。
…そう思ったときだった。

肌が、小さな魔力を感じ取る。
なかなか近いところに何かがいる。
少なくとも、僕の家の敷地内…
…門道あたりだろうか。
また、下位種族が助けを求めてやってきたのか?
随分と夜遅くにくるものだな。
…でも、この特徴的な魔力…どこかで…。

コンコン、と、玄関の戸を叩く音が屋敷内に響く。

ふわりと、鼻に通る微かな匂い。
その匂いに、僕は目を見開いた。

赤が咄嗟に魔力を放つ。
すると、玄関の戸は勢いよく開き、
訪ねてきた下位種族は物凄い速さで
屋敷内へと引きずり込まれた。

赤の部屋までの通路の扉が全て開く。
その通路を、赤の魔力に乗った下位種族が
引き込まれるように通り過ぎていった。

バン、と、赤の部屋の扉が開き、
下位種族が転がるように部屋へと放り出される。
それを見た赤は、目を丸くした。

「……スマイル…?」

床に膝を付き、僕のせいで荒れた前髪の中の瞳を
此方に向けるのは、やはり紫の彼だった。

「…っけほ、いきなり引きずり込むなよ…」

少し睨むように僕のことを見上げる彼に、
ごめんごめん、と軽く謝る。

「珍しいね、スマイルがここに来るなんて。
…何か用なの?」

小さく首を傾げながら彼の様子を伺うと、
彼は頬を掻きながら目を泳がせる。
頬を掻く手の甲の紋章は、もうなくなっていた。

「…い、や…特にこれと言った用事はない…ぞ…」

一向に合わない視線と、彼の落ち着きのない様子に、思わず笑いそうになる。

なんでここに彼が来たのかなんて、わかってる。
…どうせ、きんときに手を出した理由を聞きに来たんだろう。
僕から話を振ってあげてもいいんだけど、
焦っている彼の姿がとても愛らしいので、
そのまま見ておくことにする。

しばらく沈黙が続き、彼も落ち着きを取り戻してきた頃、彼が小さな口を開いた。

「…その…昼間の件…なんだが」

…やっぱりその事か。
言いにくそうに、彼は俯きながら、
ボソボソと口を動かしている。

「…なんで…
…Broooockはきんときに手を出したんだ…?」

心配そうに揺れる彼の視線と、おそらく光がないであろう僕の視線が交わる。

「…なんでって…スマイルはわからないの?」

少し冷たく問うと、彼は悲しげな瞳を、
静かに伏せた。

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しら(プロフ) - arisu(WT)さん» ありがとうございます(´;ω;`)励みになります...! (2019年2月3日 11時) (レス) id: 91f6d82092 (このIDを非表示/違反報告)
arisu(WT) - どうもアリスです!これめちゃくちゃ好こです!更新応援してます (2019年1月26日 9時) (レス) id: e4d3d4fa63 (このIDを非表示/違反報告)
しら(プロフ) - イワシ君さん» はじめまして!読んで頂きありがとうございます(´;ω;`)頑張ります!! (2018年12月27日 21時) (レス) id: 91f6d82092 (このIDを非表示/違反報告)
イワシ君(プロフ) - は、初めまして!とても楽しく読ませていただいています!もぉbroooock カッコよすぎです!応援してます!頑張ってください!! (2018年12月27日 19時) (レス) id: e9f141d671 (このIDを非表示/違反報告)
しら(プロフ) - 春雨さん» コメントありがとうございます!お褒めいただき嬉しい限りです(´;ω;`)これからも精一杯頑張ります…! (2018年12月11日 17時) (レス) id: 91f6d82092 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しら | 作成日時:2018年12月2日 12時

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