marble (ページ8)

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Ⅶ ページ8

日高「お名前は？」

あまりにもさらっと聞かれたものだから

誰の？って聞き返してしまいそうになって一旦口をつぐんだ

「大空Aです」

日高「Aちゃんね。いくつ？」

「27です」

日高「あれ、同世代なんだ。見えないね。」

「それ、どっちの意味ですか？」

日高「あ、気にしてた？褒めてるよ」

「それはどうも」

日高「この後予定ある？」

話のふり幅についていけず、一瞬理解が遅れた

「特にはありませんけど」

日高「よし！じゃあここで待ってて」

「え！あの！」

止める間もなく日高さんは関係者口の扉の向こうに消えてしまった

待つしか、ないよね

時間を確認しようと携帯を見ると、ヨウコからメッセージが来ていた

【A、どこにいた？】

【何かあった？大丈夫？】

とりあえず、大丈夫だから先に帰っててという内容を送ると

【わかった。気をつけて帰りなよ】

たぶん、何かを察してくれたんだろうな

ヨウコの観察力と勘はバカに出来ない

落ち着いたら話を聞いてもらおう

そう決めて、とりあえず待ってみることにした

何気なく鞄をあさると

今朝、部長から手渡された書類の束が見える

あ、見てないや

おもむろに取り出して携帯のライトを頼りに読み始めた

新しいCM作り、コンセプト、それに伴うキャンペーンなど私には畑違いな内容だった

案の定、祐飛の推薦という名のゴリ押しの結果がこれだろうな

元企画部ということで駆り出されるのは今回が初めてではなかった

にしても結構大掛かりだな

次のページに目を移した時、

微かにドタバタと走ってくるような足音が聞こえてきた