marble (ページ6)

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Ⅴ ページ6

生き急ぐかのように時間が進むのは早く

ライブもあと数分で終演

最後の曲が終わって、はけ際に

こちらを見て二ヤっと意味ありげな笑みを浮かべた気がした

ヨウコ「楽しかったー！出よう！」

「そうだね」

入口が詰まるといけないと、そそくさとフロアを出た

ヨウコ「グッズ買ってきてもいい？」

「うん、灰皿あるところにいる」

ヨウコと別れ、人の波に流されるように外へと出た

会場の周りをまわって灰皿を探していると

「あった」

会場近くの細い小道に置いてあった

ここ入口から見えないし、関係者口から近いとこなんだ

分かりづらいな

やっと火をつけて煙を吐く

人込みから抜けた開放感を表すように少し強い風が吹いた

煙草をふかしながら考えるのは、はけ際の日高さんの表情

あれは何の笑みよ

挑戦的なようで、楽しみで仕方が無いみたいな

到底言葉には表すことができない笑み

気になるけど、仕事でも頭を使い過ぎて疲れた。やめよう

と、煙草を消してヨウコを探しに行こうとすると

後ろから左腕を掴まれた

「えっ」

抵抗の余地を与えないかのように

小道の奥へと引っ張られる

そんなに痛くはないけど何！？

って、こっちは関係者入り口のほうだよね！？

奥に進めば進むほど、頭の中はパニックになっていく

明日、ちゃんと仕事いけるかな

ふと浮かんだ考えはあまりに呑気なもので、自分が情けなくなる

しばらく引っ張られて進むと開けたところに着き、腕を離された

「強引でごめんね」