marble (ページ34)

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ⅩⅩⅩⅢ ページ34

やっぱり違和感だらけ
なんか私の家じゃないみたいだな

失敗しないように集中するけど
ソファにいる彼が気になってしまう

なんとか上手くいって
お皿に盛り付け終わった頃

視線を感じてカウンターを見やれば
ビール片手にこちらを凝視している日高さん

｢どうしたの？出来たよ｣

はい、とカウンターにお皿を乗せる

昨日作った筑前煮の残りあるけど
中華とは合わないかな

なんて冷蔵庫を開けてしばらく悩む

日高｢ねぇ、家ではいつもその格好？｣

｢ん？そーだよ｣

おかずが増えればいいか、と出すことにした

｢ジャージになんか付いてる？｣

日高｢いやスーツの印象あるからかな、すげぇ親近感｣

｢むしろ日高さんはジャージに親近感湧くんだ？｣

日高｢俺も家だとジャージかスウェットだから｣

温め終わった筑前煮を出し
日高さんの向かいに座った

日高｢いただきます！｣

宣言するかのように言い放ち
勢いよく口に詰め込む

｢そんな入れたら詰まるよ｣

日高｢美味い！！｣

｢そ？よかった｣

部活終の男の子みたいな食べっぷりを見ながら
筑前煮をつまみにビールを飲む

やっぱり家で飲むビール最高

日高｢Aちゃん食べないの？｣

麻婆豆腐を半分程食べた頃に思い出したように聞かれた

｢食べてきたからいーの｣

お酒が入って上機嫌にそう言えば

日高｢なら遠慮なく！｣

さっきよりも勢い良く箸をつける

自分が作った物を美味しそうに食べてくれるって
なんか幸せだな
なんて思いながら２本目の缶に手を付けた

日高｢ご馳走様でした｣

｢お粗末さまでした｣

テーブルの上のお皿には何も乗っていなくて

｢無理して全部食べなくて良かったのに｣

日高｢美味すぎて止まんなかった｣

ははっ、と笑ってシンクまで食器を運んでくれる

｢後で洗うからそのままでいいよ｣

日高｢美味しいもの食べさせてくれたんだから、これくらいさせて？｣

と、腕まくりをして笑顔をくれた

｢なら、お願いします｣

ふざけて頭を下げれば
少し上から、任せとけ！と気合の入った声が響いた