Marble (ページ8)

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8.むせた理由ページ8

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「てかさーあ、噎せるようなところ、あったっけ…」

…ありましたよね、大ありですよね、
今！なう！ここで！私を呼び捨てにされましたよね！
会ってまだかれこれ数分なのに呼び捨てでサラリと呼んでくださって？びっくりも？しますよね？えぇ。

『あのぉ…』

「んー？」

布巾をキッチンに戻し元の席に戻った西島さんが可愛く首を傾げて間延びした返事をする。

『ここにはあと何人お住まいなんですか？』

「よにん」

私の目の前に4本立てた指を見せる。
私を入れたら6人になるんだ。
賑やかなんだろうなぁ、たぶん、

『ここの名前って、エェ～ハウスなんですか…？』

「は？なにそれ？」

『さっきプレート見たら書いてあって…』

「あ！それ！こないだ酔っ払って帰ってきたときに俺がかまぼこ板に書き換えてはっつけたやつだ」

けらけら笑う西島さんは可愛らしい
本当に年上なのか疑う勢いだ…

「なんでエーハウス…あー、本当は英語のAなんだけど、なんで呼ばれてるかって言うとね、昔俺らバンドやっててね、学生時代に、そんときの名残みたいなもんなの」

で！と西島さんが続ける

「この家主の息子がAハウスって名付けたわけよ」

いつのまにか背後に立ってた西島さんが私の肩越しに出てきて、

私の肩に手を置き、あれ！見えるかな。と腕と指をピン！と伸ばして窓から見える外の奥の方を指差す。

…ちかいよ、ねぇ、ちかいよう、

突然の呼び捨てに加えて、突然の近すぎる距離感。

もし同性の子でも少し戸惑うくらい。

出来るだけ自然体に家が見えないなぁ、あれぇ？って演技をしつつ腰を上げて西島さんの手からスルリと離れて窓際に移動する

『あ！あれですか？お家』

「うん、あれです、おうち」