Marble (ページ6)

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6.住人イチ② ページ6

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雑に玄関に靴を脱いで、彼が家に上がり、その後をきなこも追いかける。

彼の靴意外にも何足かの靴が乱雑に三和土(たたき)に出されたまんま。

私も靴を脱いでとりあえずその場に揃え、キャリーが床につかないように持ち上げて運んだ。

『…お邪魔しまぁす、』

って、自分ちなのか、ここは、、
それにしても実感わかないなー

さっき彼ときなこが入って行った部屋を覗くと、そこはリビング兼ダイニング。
黒いモケット生地のL字ソファと6つの全部形が違う椅子が並んだ大きなダイニングテーブル。
奥の壁際には大きなテレビがあって、縁側から外も見える。

「その辺、座ってな？お茶でも飲もうよ」

先ほどのキョトン顔の彼が柔らかく笑ってキッチンらしき場所から器用にコップを２つと麦茶を抱えて出てきた。

「あー、ごめんねー、この家さ、キッチン、アイランドとかじゃないんだよ、カウンターでもなくて何？独立って言うんだっけ？それなのさ、女の子ならせめてカウンターが良かったよねぇ」

『や、あんまりこだわりとか無くって…』

彼がダイニングテーブルの対面すると所にコップを並べたから、お言葉に甘えてそこに座らせてもらう。

「あ、俺、西島隆弘ね。29歳」

ものすごく唐突に自己紹介をした彼が、目尻をキュッと細めて微笑んだ。