7 years after ページ14
高校を卒業して6年後、私はサイクルタイムの編集者になっていた。大学時代にスポーツ関係に強い編集プロダクションでアルバイトをしていたのもあり、就職はスムーズに決まった。
昔より、置いて行かれる不安はなくなってきた。置いて行かれれば追えばいいんだと分かったからだ。昔はそれを割り切ってできない程度には子どもだったし、今はそうするほどの情熱も薄れてきた。
今はいい。仕事だから、と、言い訳にならない言い訳をする。
だけど、そんな一方通行のような生活にもようやく疲れてきていて、私はこれまでの実績をもとにして転職を考えていた。
そんな中で、スポーツ関係雑誌仲間の飲み会に参加した。出版業界は中途の求人が多い。横の繋がりを作っておくと、そういう情報も流れてくるのだ。
「うちのジャンル、今度大物が引退するんだよね」と聞こえてきた。芸術スポーツの雑誌編集だったので、何となく耳を傾ける。その、女性の編集者は「○体大院の、水瀬Aっていう」と続けた。「まー、年齢的にそろそろかなって。去年、ライバルも引退したしね」なんて話も漏れ聞こえてきた。
山岳とは、仕事でもよく会う。仕事が仕事だから、私もロードに乗るようになったので、会うたびに競争しようと言われている。私はそれをいなしつづける。
彼女からは、毎年年賀状が来る。たまに聞き出せば、山岳にも同じようで、それ以上の連絡がくることはなかった。
私は、その編集者から彼女が引退するという大会のチケットを1枚受け取っていた。何となく、チケットに印刷されている彼女の写真に似合いそうな花を買っていこうと思った。
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イヴ - 大人っぽいね〜こういうちょっと背伸びした小説、好きだよ♪それで、ちょっとアブナイ感じのが最大の好み♪♪主さんは? (2015年10月12日 1時) (レス) id: 50d5e2963d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まゆ記 | 作成日時:2014年9月8日 3時