38話 続*盗み聞き?の段 ページ8
田村三木ヱ門said
まじか……。
Aは自分が潮江先輩に嫌われていると思っているらしい。いつもあんなに冷たい態度をとってる癖に寂しそうな顔をするAに咄嗟に触れようとした手をもう片方の手で押さえつける。
「(…今、何を考えた?自分は何をしようと…)」
正直、潮江先輩はAの事が相当好きだろう。
会計委員会の活動中でも、廊下をAが通ればすぐに気が付き顔を上げるし、声が聞こえれば自然とその方向へと目線を向けている。普段は何があっても集中して周りを一切気にしないというのに…。
「(…Aはどう思っているのだろうか…。)」
別に邪魔したい訳でも無い。寧ろ応援してやりたい筈なのに、どうしても協力したくないという気持ちが溢れてくる。
「(…頭を冷やしてこよう。)」
外へ出ると何故か風呂場の前にたむろする生徒が居た。
「何してるんだ?」
「あっ、田村先輩。」
声を掛けると振り返る浦風藤内。
「あっ!覗きとかじゃねぇっすよ!!」
慌ててそう言う富松作兵衛。別に疑って無いのだが…
「実は、此処を通る際にとても綺麗な声が聞こえて来たので…」
状況を説明しだす伊賀崎孫兵。
「誰かと思ったらA先輩だったんです!」
「あまり良くないとは思ったのですが…聞いていたかったのでここに居るんです。」
「…そうか。」
耳を風呂場へと傾けると、透き通る様な声で軽く歌を口ずさむ声が聞こえてくる。確かに、綺麗な声で落ち着きがある。軽やかな曲調ではあるが、聴いていて心地良い。
「…綺麗っすよね…。」
「そうだな…」
「ジュンコも喜んでます!」
風呂場の前で共にたむろしていると背後からドスの効いた声がいきなり聞こえてくる。
「おい。お前ら何をしとるんだ。」
「…わっ、潮江会計委員長。」
「田村まで…何をしているんだ、こんな所で。」
「あっ!潮江先輩。潮江先輩も聴いてみて下さい!とっても綺麗ですよ。」
孫兵がそう告げる。潮江会計委員長は不可解だ、とでも言いたげな顔で耳を傾ける。
『……〜♪…」
全員が耳を澄ませた事でハッキリと言葉が聞こえてきた。
「(…恋の歌か…)」
ふと、隣を見るとあからさまに動揺する潮江先輩が居た。
あまりの動揺に算盤を落としてしまったらしい。少し大きめな物音がおこる。その瞬間、風呂場からの歌声は止まり、出て行ってしまった様だ。
潮江先輩は"すまない"と一言だけ言うとそのまま何処かへと行ってしまった。
…する事も無いため、その場を後にする。
→続く
43人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗那(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!続き楽しみにしてます!! (2019年12月2日 19時) (レス) id: a5ce07c098 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐メンタル[ 'ω' ](プロフ) - 桃さん» わぁぁ!ありがとうございます!!参考にさせていただきます!!インスピレーションってふとした瞬間にしか来ないんですよねェ)) (2018年8月11日 13時) (レス) id: 25e64bdab7 (このIDを非表示/違反報告)
桃(プロフ) - おはようございます インスピレーション湧かない時ってありますよね私も小説作ってるので分かります 私は音楽を聴いたり忍たまとか観たりしてインスピレーションを得ています (2018年8月11日 11時) (レス) id: af8a0276d1 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐メンタル[ 'ω' ](プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» ありがとうございます!すみません…あまりヒロアカは詳しくなくて……私の知識不足で申し訳ございません…… (2018年8月10日 17時) (レス) id: 25e64bdab7 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐メンタル[ 'ω' ](プロフ) - 天然水豆腐さん» ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ありがとうございます好きです大好きですぅぅう!!もう結婚しよ…))(´・ω・`) (2018年8月10日 17時) (レス) id: 25e64bdab7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:豆腐メンタル[ 'ω' ] | 作成日時:2018年3月13日 0時