【ヒ/ラ】恋バナしろよ。【実/況/者】

衣装でわかるカースト制 ページ9

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「がおー！」



文化祭準備時間、ばさっと私の前にオオカミの被り物を被った誰かが飛び出してきた。

驚くほどのことでは無かったので、ぽかんとしていると「反応薄っ！」とけらけらと笑われた。



「ひ、ヒラくん！」

「どう？怖い？」

「うん、かわいい！」



ヒラくんの服装を見る限り、ヒラくんはオオカミに仮装して脅かし役をするらしい。

本番には血糊やメイクを施すらしいけど、今のヒラくんは女子にも負けないくらいふわふわのオオカミの被り物が似合っている。かわいい。ゆるキャラに出てもおかしくない。



「Aちゃんは何着るの？」

「私は白い布に顔描いてあるやつ被るだけ」

「あ、Aちゃん案内係だっけ？」

「そう、出口はこちらです〜って言う係」



この係の振り分けからわかる陰キャ感。
白い布で分かると思うが案内係もお化けの仮装はするということで私も無難なお化け役に配属された。



「わ"っ！！！」

「っひ、」



トントン、と肩を叩かれて振り向いたら、すごい変顔をしたキヨが立っていた。私は驚いて肩を竦めたが、ヒラくんはキヨに気付いていたらしくそんな私を見てキヨと笑っていた。



「ど？完成度高くね？」

「……キヨはドラキュラなんだ」

「んー、なんか勝手に決まってた」

「…キヨは俺と違って身長高いからそーゆー格好も似合うよねー」



ヒラくんとキヨの衣装に感想を述べてく。
うん、女子が伊達にキヨの衣装に熱を注いでいただけあって、どこからどう見てもただのカッコいいドラキュラだった。乙女ゲーでいそう。

当の本人は黒いマントをバサッと靡かせて、ドラキュラ用の鋭い八重歯を付けていた。

すると廊下の方から「キヨー！」と呼ぶ声が聞こえてきた。



「おっと、人気者は大忙しだぜ！
んじゃあな、あばよ！」



…嵐のようにキヨは居なくなっていった。



「…なんだったの？」

「衣装自慢しにきたんじゃない？」



ヒラくんとリア充のグイグイさに
驚かされる今日であった。





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